アジアの経験値が三冠王者を一回り大きくする
「(宇佐美)貴史の1点でガラリと流れを変えることができた」。指揮官はクラブタイ記録となる6試合連続弾を決めたエースを誉め称えた。
負傷で岩下を欠き、今野も温存のためベンチスタートさせたG大阪は立ち上がり、体のキレを欠いた。
無理もない話だ。今節は新潟と並んで中2日のハンディを背負う上にACLとの並行日程を戦い抜いているのだ。それでも16分、相手のミスをかっさらった宇佐美がパトリックとのコンビプレーからあっさりとネットを揺らして先制するとG大阪が地力を見せ始める。松本のプレスをパスでいなしながら、再三相手ゴールに迫り前半だけで放ったシュートは計10本。対照的に松本は1本のシュートも枠内に飛ばせず、一方的な展開になりかけた。前半だけを見れば、三冠王者とJ2からの昇格チームの地力はあまりにも大きいかに見えた。
後半早々の59分、阿部浩之が2度の決定機を逃すと62分に松本は阿部吉朗と前田を同時投入。両サイドからの攻撃で主導権を引き寄せ始めた。連戦の疲れで明らかに運動量が落ちたG大阪を徐々に押し込み始めた松本は66分にオビナの縦パスを岩上が頭で合わせるも、GK東口がセーブ。「サイドは捨てて、キム・ジョンヤと中ではね返すつもりだった」(丹羽)。劣勢が続きながらも、丹羽とキム・ジョンヤを中心とする最終ラインは破綻を許さなかった。
81分には米倉が負傷交代し、小椋を急きょ右SBで起用するという急造布陣ながら、チームに動揺はなかった。ACLのアウェイでブリーラムを下した試合にも似た守備陣の踏ん張りで今季初の“ウノゼロ”を披露したG大阪。アジアの舞台で得た経験値が、三冠王者を一回り大きくした感がある。(下薗 昌記)