前半だけで、3回も選手が担架で運び出された。それは主審の不安定さを象徴すると同時に、両者がいかに1対1や球際の激しさにこだわりを持って戦っていたかを物語る。大荒れとなった前半、ロスタイムの表示はなんと5分もあった。
強風の影響をモロに受けたこの試合。風下に立った前半の岐阜は、長崎のロングボール攻勢と向かい風を前に劣勢を強いられる。そのためにセカンドボールの攻防で接触プレーが激しさを増した45分間だったが、長崎との肉弾戦に一歩も引かなかったという証でもある。43分までに二人の負傷者が出る事態に見舞われながら、「風下の前半を耐えたら流れは来る」(太田岳)と無失点でしのぎ、追い風となる後半の“必然の攻勢”につなげた。
そんな勝利の伏線を回収したのが53分だった。刈部の負傷に伴いJデビューを果たしていた小野がスルーパスを送ると、これに反応したレオミネイロが決勝点。ピンチの場面で鬼神のごとく現れ、水際で体を投げ出し続けた高木は言う。「(前半は)危ない場面もあったけど、みんなで体を張ってゼロで我慢した結果」。いくつもあった追加点のチャンスこそ生かせなかったのは課題であり、この日の勝利は前半を耐え抜いた気迫のバトルが生んだモノだった。
第2節以来、8試合ぶりの歓喜。勝ち点3に対する強い執着が、岐阜には備わっていた。(村本 裕太)