2点のリードを持ちながら、鮮やかな逆転劇を許した愛媛にとって、本当の敵には自らの中にあったのかもしれない。
2連敗中の北九州に対して愛媛は4連勝中。「その勢いの差が前半にあった」と敵将の柱谷監督が話したように、試合は序盤から完全に愛媛が掌握していた。多くの時間帯で北九州を自陣に追いやり、攻撃の糸口さえ許さない状況を作った。そんな中で得た浦田、河原のゴールは必然的なモノだったはず。そこまでの流れからすれば、この2点のリードは点差以上に大きなモノになると思われたが、それこそが俗に「2-0は最も危険なスコア」と言われるゆえんだ。愛媛の選手には連勝の自信もあっただろうし、守備ではここ3試合は1点差のゲームをモノにしてきた。しかし、2点あれば大丈夫だと感じたのか、「2点取ってから気持ちが緩んでいた」(浦田)というスキを敵が見逃してくれるはずはなかった。前半終了間際に軽率なファウルからPKで1点を献上すると、その不穏な空気を後半も引きずったまま。61分に虚を突いた川島のFKで同点にされると、74分には一瞬のスキを縦に突破され、ついには原のゴールで逆転を許した。
チームは戦前から連勝での気の緩みを最も嫌っていたはずだが、潜在的な慢心は心の奥底に隠れていた。己に敗れ、「負けるべくして負けた」試合に、河原は下唇を噛み締めて悔しがるしかなかった。(松本 隆志)