35分、先制点の場面。カウンターに切り変わった瞬間、『俺によこせ!』と言わんばかりに主張していた。そして逆サイドの田中輝から、ボールが送られてくる。「外さないように慎重に打った」。自分が最も成長した点を「決定力」と話す背番号11が、ピッチ上でそれを証明した。
左ウイングバック。彼の新境地は、選手の“可能性”を探る西野監督のこんな見解から始まった。
「FWというよりも、ワイドな選手だと思う。(視野を)限定した中での縦の力がアイツの武器。右も左もクロスを上げられたり、切り込んでシュートを打ったりという力もあるし、ウイングバックとしての適性は十分にある」
守備にひた走りながら、奪った瞬間に前に出ていかなければいけないこのポジション。圧倒的なスピードとスプリント力があるとはいえ、カウンターに関わるためには「前に収まらないと出られない」ため、守備だけに追われてしまうこともある。
それでも数字が付いてきている。「最初の決定的な場面で決められて、チームも勢いが出たと思う」。そこに感じられる、“いかにチームを動かすか”という意識の強さ。「みんなで守る意識があるし、カウンターのときは人数をしっかり掛けられている」と語るものの、チームの好調をけん引しているのが彼であることは間違いない。湘南戦の後半は前線にボールが収まらず、前に出ていく回数も限られたが、勝負どころでは前に出て行きチャンスを作った。
「負担は大きいけど、得点も決められている」
同システムになって、チームは4勝1敗。新境地になって、自身リーグ3得点目。あんなに走って、結果も、数字も付いてきているのだから、「しんどいです」と笑う表情にも充実感が宿っていた。( 村本 裕太)
永井 謙佑(ながい・けんすけ)
1989年3月5日生まれ、26歳。広島県出身。177cm/74kg。浅川中→九州国際大付高→福岡大→名古屋→スタンダール・リエージュ(ベルギー)を経て、13年に名古屋に期限付き移籍。今季から名古屋に完全移籍した。J1通算111試合出場29得点。J2通算5試合出場。