■お互い欲しかった先制点。それを奪った松本が完封勝利を飾る
松本に待ち望んでいた瞬間が訪れたのは、79分。オビナからのクロスに、中央に飛び込んだ岩沼が頭で競り合う。ファーサイドにこぼれたボールを拾ったのは喜山。冷静にコントロールしながら打ったシュートは、そのままゴールネットを揺らした。
主導権を掌握したのは、ホームの松本。高い位置からの守備で甲府をハメることに成功し、セカンドボールの拾い合いもに勝利することが多かった。岩間がボールを奪取して、前田のシュートまでつなげた12分の決定機は、その一連の流れから生まれたモノと言える。ただ、前節・鹿島戦(1○0)で勝利しているアウェイの甲府もスピードあるアタッカー陣がチャンスを作る。0-0のまま突入した後半も、流れが大きく変わることはなかった。刻一刻と時間が過ぎる中、お互いに欲しいのは先制点。両チームともにこれまでのリーグ戦での勝利はすべて“ウノゼロ(1-0)”であり、ワンチャンスを生かしたあとは守り切るのが勝利のためのゲームプランだった。65分に甲府が石原克哉を投入すれば、松本も負けじとその1分後に石原崇兆を投入。お互いに均衡を破るための策を講じる中、79分に飛び出した喜山のゴールに場内は沸き返った。
甲府もこのままでは終われない。「何とか勝ち点1でも」(樋口監督)と松本陣内へ圧力を掛ける。エアバトルに長けた渡邉をパワープレー要員として最前線に上げ、途中投入されたアドリアーノとともに前線に人数を割き捨て身の攻撃をしかける。しかし、後半ロスタイムにカウンターからゴール前に走り込んだ石原崇兆を新井がファウルで止め、これがPKと判定。微妙なジャッジだったが判定が覆ることはなく、これをオビナがきっちり決めて、ダメ押し。松本は3試合ぶりの勝利を完封で飾った。(多岐 太宿)