迎えたリーグ前半戦の山場。磐田は何かを“変える”ことではなく、原点に“戻る”ことを選んだ。
前々節・福岡戦(0●1)、前節・札幌戦(0●3)で連敗。連敗は今季初、そして、昨季の終盤にスタートした名波ジュビロにとって初の経験だった。札幌戦では今季ワーストの3失点を喫し、このC大阪戦まで中2日というタイトな日程。まさに、最悪のタイミングで迎えた昇格レースのライバルとの一戦だった。
2日間という準備期間でできることは限られている。名波監督は就任当初から強調してきた「コミュニケーション」にあらためて重きを置いた。札幌戦からアウェイ2連戦となったチームは、札幌から直接大阪入りし、今節へ向けて2日間の調整を堺市内で行っている。札幌戦の翌日の4日。昼過ぎに練習を終えると、名波監督は夜7時まで外出を許可した。選手たちはそれぞれのグループで大阪の街を歩き、気分転換を図った。そして、C大阪戦前日の5日には夕食後に選手ミーティングを実施。その席で再確認した。「開幕戦のころの自分たちに戻ろう」。
いまの磐田の“原点”は守備面だ。指揮官は札幌戦の敗戦を、「チャンピオンチームのような戦い方をしていた」と悔やみ、「ボールアプローチをもう一度しっかりやる」と宣言していた。それは勝ち続ける中で、どこかで薄れていた部分であり、チームの土台がブレたことで、大量3失点につながった。このC大阪戦でも相手にチャンスを作られているが、最後のところで体を張り、チームは短期間で何とか持ち直した。
過密日程の中、選手同士が密に話し合う時間を持てたことは、フロントのバックアップがあってこそだ。試合後、名波監督は「札幌から直接大阪に移動できたことをクラブに感謝しなければいけない」と頭を下げた。今回の遠征には木村稔社長も帯同。練習場では自らボール拾い役を務め、連敗を喫した選手たちに明るく声をかけた。
選手、監督、そして、フロント。クラブとしての一体感は、時間をかけながら徐々に密になり始めている。チームのパフォーマンスはまだ安定しない部分もあり、「発展途上」(名波監督)にあるのも事実。今節もC大阪にシュート数で上回られ、苦しい時間帯もあった。それでも勝ち切ったことは、偶然ではない。(南間 健治)