小林が対面したのは日本代表の快速FW永井だ。チーム事情でウイングバックのポジションに入っているが、抜群のスピードと得点力にどのチームも手を焼いている。だからこの試合で小林に与えられたタスクは“永井封じ”ただ一つと言っても過言ではなかった。
システム変更によって永井と同じウイングバックに姿を変えた小林は序盤、積極的に前へ出た。「永井を引っ張る意味でも高い位置を取った」。マイボール時は高い位置にポジションを取って味方のパスコースを増やし、同時に永井のポジションを押し下げた。背後には危険なスペースが生まれてしまうが、「カンペーさん(富澤)が後ろにいたので本当にライン際を守れた」という信頼関係も見逃せない。自分のサイドでボールを失わなければ永井と入れ替わってカウンターを食らうリスクも低い。攻め上がった際はほぼノーミスで終えた。
守備だけでなく攻撃でもゴールに絡んだ。51分のゴールシーンは名古屋のクロスから始まっている。矢野のクロスを横浜FMゴール前で触れたのは永井だったが、そのこぼれ球を拾った小林は自らボールを運び、パス交換から相手陣内へ。藤本のパスを受けた小林はエンドライン付近からグラウンダーのクロスを送り、名古屋守備陣の連係ミスから中町がこぼれ球を詰めた。すでに1点リードしているため「リスクゼロで」を言い聞かせていたが、チャンスになる場面では思い切った攻め上がりを見せてオフェンスでも結果を残した。
急ごしらえの布陣だったが、それが小林の適応能力の高さを引き出したとも言えるだろう。「これが正解だとは思わない」という試合後のコメントはチームに対しての意味合いが強く、横浜FMの右サイドを預かる金髪SBにとっては[3-4-3]が追い風になった。(藤井 雅彦)