柏にとっては今季のワーストゲームだろう。いつもはプレスを苦にしない柏が、山形守備陣を一度も破れなかった。
16分の決定機でクリスティアーノが決めていれば違う流れがあったかもしれない。セットプレーからの失点、せっかく奪ったボールを奪い返されてからの失点と、取られ方のつたなさも指摘できる。しかし柏はまず攻撃面で、本来の迫力を出せなかった。
吉田監督は「工藤のところで相手をブロックし、時間を作る」(吉田監督)という狙いから、工藤を左、クリスティアーノを右に配置した。1枚がカバーする山形のサイドを、柏はSBとウイングの2枚で崩しに行ける。そこで攻めの厚みを作る狙いはロジカルだし、実際に左SB輪湖はしばしばフリーでボールを受けていた。
しかしそこが“罠”だったのかもしれない。ボールを持てることが、逆に停滞を呼んでいた。柏のSBに対する山形側のプレスは「ボールの入った瞬間に、最終ラインから掛けてくる」(工藤)モノだった。持つ時間はあるが、縦のコースを切られている状態だ。柏のSBは自然と横から中に蹴りやすい状況が生まれて、狙い澄ました相手の守備に引っ掛けられていた。「一つ二つ外せば、チャンスができた」と工藤は悔いるが、外し方もスムーズではなかった。
ACLを見れば柏はE組を首位で突破し、6試合で出場32チーム中最多タイの14得点を奪っている。しかしそんな太陽王の攻撃にも、足りないところがある―。そこに気付かされた一戦だった。(大島 和人)