縦への意識。ボールハンターの進化
日本屈指のボールハンターが、再び代表候補入りを果たした。
これまで、何度も待望論が出ていた。球際で激しく力強く体をぶつけ、ボールを奪ってみせる。その能力は、以前から間違いなく日本人レベルのそれを越えていた。国際舞台において、日本は常に相手との体格差や技術差の前に屈してきた。そんな状況下で、敵のボールをいかにマイボールにしていくか。その観点からすれば、米本拓司は“奪取者”として適任である。本人も今回の選出に際して、「まずは自分の良さである守備、ボールを奪うところはアピールしていかないといけない」と自覚している。
さらに、米本にはある変化も見られる。
今季は攻撃意識の向上にも着手している。J1・1st第4節の甲府戦(1○0)では、相手の裏のスペースに走る石川直宏の動き出しを見逃さず、綺麗なミドルパスを前線に通してみせた。この場面以外にも、毎試合縦にボールを付ける意識や、ゴール前に侵入する動きも頻繁に見せている。第10節・仙台戦(3○2)では、ロングボールをエリア内で受け、P K 獲得にも貢献した。縦に向かうプレーは、ハリルジャパンが目指すプレー指針ともリンクする。
昨季以降、FC東京の選手が多く代表に選出されていることに、刺激を感じつつも少しだけ違和感を覚えていた。「自分たちは中位の成績しか残せていないのに、たくさん代表に選ばれている。もちろん個人の能力は高い選手ばかりだけど、自分はそういうところにもこだわりたい」。現在、チームはJ1で2位につける。米本はあらためて言う。「いまの順位なら、胸を張って代表に行ける」。堂々と向かう米本。狙うは、代表定着あるのみである。(西川 結城)
MF 米本拓司(FC東京)
1990年12月3日生まれ、24歳。兵庫県出身。伊丹FC→伊丹高を経て09年にFC東京に加入。J1通算139試合出場4得点。J2通算1試合出場。