■大宮アルディージャ
ワンランク上の勢いへ。ベースは戦術が浸透した堅守
5連戦を4勝1分で乗り切った大宮だが、依然として順位では4位と自動昇格圏には入れていない。その要因の一つは第2節・C大阪戦(1●3)、第7節・千葉戦(0●2)といった、昇格を争う相手との“直接対決”に敗れてきたことにある。渋谷監督は今節の磐田戦を「われわれの勢いをもうワンランク上にするためにも大事になる」と位置付け、ビッグマッチでの勝利、そして首位戦線でのリードを狙う。
ここ6試合で1失点と、現在のチームのベースが守備にあるのは明らか。河本は「90分完全にこっちの流れということはどの試合でもない」とした上で、J2・2位の得点数を挙げる磐田に対しても「今までどおりしっかり集中してやれば対応できる。90分間切らさずにやれればいい」と守備力に自信を見せる。
自信を裏付けるのは守備コンセプトの浸透だ。渋谷監督は現在の守備を「連動するところや、ボールを中心にというのは、ちょっとずつできてきているところもある」と評価。まだ完璧とはいえないまでも、コンセプトの理解が進んだことで「(ボールサイドへの)スライドがあるからこそ穴が開かなくて失点をしていない。最後に人がいる、ちゃんとズレてきている」(渋谷監督)という状態ができている。
もう一つのポイントとしては、切り替えの速さが挙げられる。前述のC大阪戦や千葉戦では、攻守の大前提となる切り替えで後手に回った。反省はその後の試合で生かされ、磐田戦に向けた練習ではあらためて切り替えを意識させるメニューも取り入れた。「ボールを奪ったらすぐポジションを取る、失ったらすぐ集結するというところ」(渋谷監督)を徹底し、トランジションゲームでも上回る構えだ。(片村 光博)
■ジュビロ磐田
出足の良い守備で牽制し、エリア内で質を発揮したい
この5連戦を1失点で終えた大宮。その守備をいかに崩すかが焦点の一つとなる。とはいえ、いまの磐田の合言葉は「良い守備から良い攻撃が始まる」(名波監督)。この試合もまずは高いラインを敷いてコンパクトな陣形を保ち、その上で相手のボール保持者にプレッシャーを掛けるだろう。そのことが家長ら大宮のキーマン封じにもつながるはずだ。
前線には高さとキープ力を兼ね備えたジェイがいる。逆に自陣で大宮にプレッシャーを掛けられた場合には、リスクを負わず、シンプルに前線を使ってもいい。その中で小林ら2列目の位置でセカンドボールを徐々に拾えるようになれば、ペースを握ることができるはずだ。理想とするゲームプランとしては、第9節・千葉戦(2○0)。序盤から相手に押されたものの、粘り強い守備を継続。21分のジェイの先制弾で主導権を握っている。
攻撃面では、開幕前から名波監督が課題に挙げていた「ペナルティーエリア内での質」が向上してきた。それが象徴されたのは前節・水戸戦(2○1)の同点ゴールの場面。相手ゴール前の密集地帯で宮崎→小林→松井と短いパスがつながり、最後は松井が左足でゴールネットを揺らした。指揮官はこの場面を「テンポが速く、受け手も出し手も余分なことを考えず、スパンとパスがつながった」と評価している。
以上、ポジティブな材料を並べたが、不安要素がないわけではない。今季、昨季ゼロだった逆転勝利がすでに4度あるが、一方で、先制を許した試合が8試合ある。失点の少ない大宮相手に先制を許せば、“命取り”となる可能性も。その意味でもまずは出足の良い守備で相手を牽制し、リズムを作りたい。(南間 健治)