■ジェフユナイテッド千葉
最大限の敬意を持ち、迎えるニューカマー
金沢の印象を聞かれたネイツ・ペチュニクは、「下部リーグから上がってきたチームのこの結果はサプライズ」と、驚きを隠さなかった。ただ、「彼らはその力があることを証明している。タフなゲームになるのは間違いない」と、百戦錬磨のスロベニア代表も、最大限のリスペクトを払ってこのゲームに臨む。
金沢のここまでの総失点数7は、J2最少。千葉はその堅守を突き崩さねばならない。堅いといってもベタ引きの人海戦術ではなく、現在の金沢はJリーグの中でも機能的な[4-4-2]のゾーンディフェンスを実践するチームの一つだろう。コンパクトな陣形を守り、焦れずに均等な距離感を保ち、不用意に入れたボールを刈り取る。山藤と秋葉のダブルボランチのインターセプト数はJ2でも群を抜く。
その攻略については、井出や町田らが「(相手の守備)ブロックの中で、どううまく間でもらって前を向くか」(井出)に懸かっている。13日の練習でも、ブロックを揺さぶって中にパスを通し崩す意識を植え付けた。金沢の最終ラインに対し、単純なクロスでは苦しいが、次々に選手が入り込んでのコンビネーション・プレーを続ければ、綻びは生じてくるはずだ。
ただし金沢には堅守だけでなく、高さの水永、得点力の清原という武器がある。キム・ヒョヌンと大岩がいかにはね返せるか。また、最終的に水永の頭に合わせるにしても、「金沢は奪ったときもしっかりつないでくる」(谷澤)。そこをストロングポイントである切り替えで上回り、「高い位置で奪い返せれば自分たちのペースになる」(谷澤)。課題は、「いかにクロスやシュートで終わり切るか」(井出)。もう一段階チームを上げるために、最強のニューカマーを迎え討つ。(芥川 和久)
■ツエーゲン金沢
個で劣る中、アウェイの地で見せるチーム力
開幕から13試合。つまり、シーズンの4分の1以上を消化した。新参者に向けられる目は明らかに変わった。前節の相手、岡山はリスクを回避してなかなか前に出て来なかった。金沢が張り巡らす“網”の中に、迂闊に足を踏み入れた結果が容易に想像できたからだろう。試合後、長澤監督は「バランスゲームのジェンガをやっているようなイメージ。一つ間違えばサメが口を開けて待っている」と語った。
ここまで10戦負けなしの金沢にどこが土をつけるのだろうか。本田圭祐はかつて「結局、最後は個の力」と語っていた。もちろん個の力は重要だが、今節の金沢の相手が“それだけ”ならばどれほど良かったことか。今季の千葉は間違いなく強い。これまで繰り返してきた過去を教訓にした結果、個の力がある選手たちが組織的にハードワークするチームになった。
森下監督から見た関塚監督は「リアリティーのある監督さん。持っている戦力から相手を見て、確実に結果を残すやり方ができる」。そんな関塚監督率いる今季の千葉は「J2仕様と言ったらおかしいが、非常に手堅くやっている」(森下監督)。
走り、寄せ、奪い、そして縦に速く――。千葉と金沢のサッカーには似ている部分も感じられる。組織力が均衡した場合、それを打ち破るのはやはり“個の力”なのだろうか。金沢はフィールドプレーヤー10人で一つの網を形成し、縦横無尽に動き回る。その中でボールを絡め取り、プレーエリアを前進させる。
完全アウェイの地フクアリで、金沢の“網”の強度が試される。まずは失点ゼロで試合を進め、ホームチームの焦りを誘いたい。今後、長崎や磐田との対戦も控えるだけに、千葉との大一番は目が離せない。(野中 拓也)