互いに力を出し切った末の勝ち点1
試合終了とともにNACKに鳴り響いた万雷の拍手が、この試合を象徴していた。結果はドローだが、戦術的意図のせめぎ合いに個人能力のぶつかり合いがブレンドされた内容は、見る者にフットボールの醍醐味を再確認させるモノだった。
キックオフからしばらくは主導権の奪い合いになった。大宮は磐田の中途半端なプレッシングをかいくぐってボールを運び、磐田は大宮のSB裏のスペースにロングボールを入れて、それぞれリズムを引き寄せようとする。10分を過ぎたあたりから大宮がボールを保持する形で小康状態に入ったが、シビアな駆け引きは継続。一つミスが生まれれば瞬時の切り替えで攻守がめまぐるしく逆転する、緊張感のある展開となる。ポゼッションで上回った大宮が前半終了間際に連続してチャンスを得たものの、スコアレスでハーフタイムを迎えた。
後半に入り、試合はさらに激しさを増す。名波監督の「しっかり戦おう、球際にちゃんと行き切ろう、後ろ向きなプレーはやめよう」というメッセージにより磐田が攻守ともに能動的な姿勢を強め、呼応するように大宮もテンポアップ。互いに複数の決定機を得ながらなかなかスコアは動かなかったが、73分に磐田がセットプレーから均衡を破る。駒野のFKに頭で合わせたジェイが先制点を挙げた。
しかし、大宮に焦りはなかった。「1点は取られたが、そのあともしっかりとした形を作って攻撃していた」(渋谷監督)。83分に渡邉からムルジャへのパスを起点に右サイドで押し込み、最後は渡部のクロスを渡邉が落としてムルジャが蹴り込んで同点に追い付く。さらに86分には家長がエリア内で倒されてPKを獲得。しかしムルジャのキックはGKカミンスキーの超反応によって防がれ、一気呵成の逆転とはならず。互いに力を出し合った結果、見ごたえ満点の90分間は1-1で幕を閉じた。(片村 光博)