前半に先制を許すも、後半だけで大量6得点
最初の分水嶺は22分。吉田にこの日2度目の警告が提示され、鳥栖は残りの約70分を10人で戦うことになった。キム・ミヌを左SBに下げ、[4-4-1]に変更。前から追わずに低い位置で2ラインを敷いた。数的不利になったが、ブロックを作りスペースを消したことで守備は機能し、浦和も攻撃で苦労していた。そして31分、豊田がファウルを受けFKを得る。これを水沼が叩き込み、鳥栖が先制する。限られた攻め手の中で最も可能性が高い方法で得点を挙げることができた。数的不利となった状況を考慮すれば、これ以上ない形で鳥栖は前半を折り返した。
次の分水嶺は47分だった。数的不利の鳥栖は、守備の際は相手ボランチを見る池田がサイドに配されたことでボランチへのプレッシャーが緩む。さらに「1点取って、少し重心が後ろになった」(菊地)ことも影響して、浦和の柏木、阿部が高い位置に出てくるようになった。ここで阿部が放ったミドルはDFに当たるが、偶然にも良い形でこぼれたボールを武藤が蹴り込み、浦和が同点に追い付く。鳥栖にとってはツキがなく、一人少ない状況で痛い失点となった。
重心が下がったことでボランチからの縦パスに対して強く出て行けなくなった鳥栖は、浦和のフリックを織り交ぜた攻勢に防戦一方。59分に柏木を起点とした鮮やかなパスワークから勝ち越し点を献上すると、鳥栖にはね返すパワーは残されていなかった。バランスを崩して前に出てはカウンターを浴びるという展開に加え、「感覚は鈍っている」と試合前に話していた負傷明けの林のミスもあり、失点を重ねていった。
J1でのチーム最多タイの6失点を喫した鳥栖はこれで1stステージ優勝の可能性が消滅。ホームでの不敗記録もストップした。一方の浦和は鬼門と呼ばれるベアスタで勝利を挙げ、1stステージ制覇に向けて大きく前進。昨季、辛酸をなめたホームでのG大阪戦、アウェイでの鳥栖戦を今季はいずれも勝利し、選手たちの自信はさらに深まった。あとはタイトルを手中に収めるだけだ。(杉山 文宣)