これまで中盤を支えてきた梶山の欠場が、柏戦前日に決まった。さらに右SBの徳永は出場停止。3日前のナビスコカップ第6節・広島戦(1△1)でチームの屋台骨を支えた羽生も肋軟骨を痛めて戦線離脱。普段は脇役だがチームに欠かすことのできない実力者たちが、相次いで不在となった。試合中にさらなるハプニングも起きた。米本がひざを痛め、早々にピッチを退いた。ここからガタガタと崩れていくことは簡単。しかし、ある若手のプレーがそれを食い止めた。
今季リーグ戦初ベンチの野澤。柔らかいボールタッチと展開力に優れたMFは、分厚い選手層に阻まれ出場機会を得られずにいた。それがいきなりピッチに登場すると、周囲の不安をよそに堂々としたプレーを披露する。
「最初に自分らしいプレーができて、あれでスッと試合に入れた」
中盤から左足ワンタッチで相手DF裏にミドルパス。受け手の武藤にピタリと合うボールを出してみせた。以降、守備でも球際では相手のスクリーンとなって縦への侵入をふさいでいく。今季初登場とは思えないほど、背番号34はピッチ中央で存在感を発揮した。
右サイドではSBの松田が上下動を繰り返し、プレーの回転数を上げていく。ミスもあったが、それで萎縮していては彼の良さは出ない。最後まで前線にクロスを供給し続け、チームに貢献した。また3日前の広島戦でゴールを挙げた林の献身性も相変わらず。ストライカーらしい形からシュートも放ち、前線で攻守に躍動した。
試合後、森重がこの日の勝因を挙げた。「けが人などチーム内にいろいろな問題があった中で、若い選手が活気を与えてくれた。苦しいときに新しい風を吹き込んでくれたことで、また全員で戦えた」。主力が固められがちだったチーム。その中でも、彼らは腐らずボールを蹴り続けた。停滞していた集団を押し上げた、若手たち。あふれんばかりのその才能を、あらためて示してみせた。(西川 結城)