14番の登場で一変した流れ。最後はエウシーニョ
川崎Fの風間監督は「プロはエンターテイナーでなければいけない」としばしば口にする。ただ、すべての観客が“楽しさ”を享受することは、勝敗が付く以上難しく、実際にこの日敗れた湘南が味わったのは無念だった。とは言え、劇的な幕切れを含め、両チームが見せたパフォーマンスには見る者を興奮させる要素が詰まっており、そういう意味では最高のエンターテインメントだったと言える。
技術で勝負をする川崎Fと、ハードワークを武器とする湘南。異なるスタイルの対峙となった今節は、まず緑青のクラブがしかける。「ボランチに(プレスを)掛ける狙いはあった」(石川)。その思惑がハマり、開始わずか4分、高い位置でのボール奪取を起点に、遠藤の右からのクロスを高山が合わせて湘南が先制。出鼻をくじかれた川崎Fはその後、ボールを保持はするものの、後方に人数をかけることで前方への圧力が出せず。湘南の圧力に対して後ろへ“矢印”を持っていかれた川崎Fには必然の展開だった。
その流れを一変させたのは、控えに回っていた中村だ。「推進力を見せたかった」と、チームの欠落部分を察知していた中村は、出場直後、自ら起点となってパスを出すやいなや、エリア内へ侵入してPKを獲得。これを大久保が沈めて川崎Fが同点にすると、会場の空気は最高潮に。粘り強く守る湘南に対して決定機は作れなかったものの、敵陣に相手を張り付ける展開となった。そして終了間際の94分。中村を中心に中央突破を図る中で一度はボールをロストしたものの、こぼれ球を拾ったエウシーニョが左足で放ったシュートがネットに突き刺さり、土壇場で逆転。極上の“等々力劇場”の中心には、やはり背番号14がいた。(竹中 玲央奈)