新旧の中盤コンビが見事な連係とバランスワークで攻守を機能させた。攻守が切り替わった瞬間にカウンターを狙うのか、ワイドにつなぐのかメリハリがあり、全体のバランスを崩すことなく効果的な攻撃を促していた。
前日の公式練習後に柴崎岳は「(飛び出しという)僕の持ち味は生きると思う」と語っていたが、自らのロングパスから本田圭佑のゴールで早い時間帯に先制したこと、左SBの長友佑都が頻繁に攻め上がり、前の人数が増えたことから、相手が間延びした終盤までゴール前で絡むシーンは19分に放ったミドルシュートぐらい。ただし、12分にはセカンドボールを相手が拾いかけたところで酒井宏樹と挟み込んで奪ってチャンスにつなげたかと思えば、32分には中央に流れてきた宇佐美貴史に絶妙な縦パスを通し、岡崎慎司のゴールの起点となった。
長谷部誠は中盤を幅広く動きながら時にパスワークに顔を出し、練習でやっていた通りのクサビ、リターン、縦パスという攻撃のリンクマン的な役割をこなし、同時に守備のリスクを管理。柴崎も守備に転じれば素早くプレスを掛けるかリトリートするかを判断し、イラクに危険な速攻を許さなかった。前半終わりにイラクが縦を狙ったところで柴崎が相手に寄せ、こぼれたボールを吉田麻也が拾ったシーンは柴崎の高い守備意識を表すが、そうした積極的なプレーも長谷部の献身的なバランスワークあってのものだ。
後半はイラクが司令塔カシムを投入してきたこともあり、日本はブロックを下げる時間が増えたが、連動した守備は崩れず。攻撃陣の3人が交代すると、柴崎のダイナミックな展開や長谷部のセカンドボール奪取を起点に再びチャンスが生まれた。長谷部は76分に谷口、柴崎は85分に山口と交代し、お役御免となったが、攻守の幅広い働きで可能性を感じさせた。 (河治 良幸)