■栃木SC
上を見てギラつく栃木。いまこそ一気に登りつめるタイミング
前節は群馬に5得点と大勝した栃木だが、2得点の阪野は「最近は5試合連続引き分けもあったがチャンスは数多く作ってきたし、シュートがバーにはじかれるような不運が重なっただけでいつ結果が出てもおかしくなかった」と、一喜一憂する様子はない。直近の流れからすれば十分あり得る大勝劇だった。
その攻撃のパワーを支えていたのは堅調な守備だ。質の高いファーストディフェンスから連動してサイドにハメて奪い切り、一気にカウンターで仕留める。首位・大宮が相手となれば押し込まれる時間帯も多分にあるだろうが、「前から奪えるときは行き、耐えるべき時間帯は然るべきことをやる」(阪倉監督)という状況の見極めが肝要。指揮官は古河電工時代に最終ラインを組んだ敵将の渋谷監督を「人当りは優しいが、プレーは激しい」と懐かしみつつ、「[4-4-2]のゾーンという大宮に脈々と流れるモノをしっかり受け継いでいて、J2でもJ1チームの戦い方をする」と見る。質、パワーともに申し分ない大宮を栃木が上回れるとすれば、球際の激しさやセカンドボールへの量と質。「第5節・磐田戦(0●3)では力のある相手にその点でも序盤から後手に回って苦しくなった。勢いを持って試合に入ることが重要」と中美が語るように、同じ失敗を繰り返すつもりは毛頭ない。
「シーズンにはコツコツと行く局面と一気に登りつめる局面があると思うが、いまは後者のタイミング」と指揮官。ここ数試合は誰もが連動した守備と攻撃のパワーに手ごたえを感じながら勝ち切れない試合を続けてきた。それが前節ようやく噛み合い、ダービーで歴史的大勝をつかんだ。これは千載一遇のチャンスである。上を見てギラつくか。再びコツコツ生活を続けるか。首位撃破で違う世界が見たい。(鈴木 康浩)
■大宮アルディージャ
“洗礼”を浴びせた相手に成長を見せ付け、雪辱を果たしたい
今季11年ぶりにJ2に戻って来た大宮に“洗礼”を浴びせたのが、ほかならぬ栃木だ。開幕前にNACKで行われた公開練習試合で対戦し、キャンプをのぞけば今季初の対外試合だったが、結果は0-2。「プレシーズンのNACKでの内容と結果は残念だったし、キャンプでいろいろやってきたことが出せなかった」(渋谷監督)と指揮官も認める完敗で、J2での戦いが一筋縄ではいかないことを再確認した。
当時の戦いを振り返ると、大宮は栃木のプレッシングに対して後手に回り、パスの出しどころに困った結果、悪いボールの取られ方からカウンターを受けて失点。その後にポゼッションこそ回復したものの栃木のセットした守備に手こずり、2失点目を喫して試合を決められてしまった。端的に言えば、ビルドアップとセットアップの局面で優位性を確保できなかったことで相手の術中にハマった。
しかし、以降の大宮はこれらの課題を少しずつ解決し続け、いまでは確かな進化を見せている。プレッシングに対しては落ち着いたボール回しで守備網に穴を開け、リトリートに対しては幅を使った攻撃で辛抱強く崩しにかかることができる。「相手のペースに乗るのではなく、自分たちのサッカーができるようにはなってきている」(渡部)。栃木の今回のゲームプランはフタを開けてみないと分からないが、現在の大宮にはどのような形でも対応できるだけの引き出しが備わってきている。
とはいえ、少しでも歯車が狂えばプレシーズンの再現もあり得るのは言うまでもない。「4カ月経って、ウチがそのときと違ったモノを見せられるか」(渋谷監督)。同じ相手だからこそ、自らの成長も確かめられる。苦い思い出を胸に、大宮は雪辱を期す。(片村 光博)