油断禁物。なぜならばここから始まるのはW杯予選の厳しい戦いだから
悔恨のブラジルW杯。初戦のコートジボワール戦から、1年が経過した。「あれからまだ1年。(ベスト8に終わった)アジア杯も悔しい思いをした。まだ何かの答えに達したわけではないけど、でもやり続けるしかない。どれだけ厳しく世界を見据えて戦えるか。やっぱりW杯予選は特別なモノ。緊張感の中で、勝ち続けたい」。岡崎慎司が選手たちの思いを代弁したように、本当の意味で日本はまだあの傷が癒えてはいない。それでも、もうロシアへの戦いは始まろうとしている。
初めての公式戦を翌日に控えた15日、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は大きな声とジェスチャーで力説した。
「普通に考えればポゼッションはわれわれが上回るが、相手の前線には足の速い選手がいる。速攻に対して注意深く守る必要がある。フランスを見てほしい。歴史上負けたことがない国に負けてしまった(13日のアルバニア戦)。選手には警告した。シンガポールを過小評価してはいけない。もし100%のプレーをしていない選手がいれば、10分で交代させるかもしれない」
思えば4年前、同じW杯2次予選の初戦・北朝鮮戦で、日本は苦戦の末、終了間際の吉田麻也の決勝点で何とか勝利した。今回も相手とのレベル差は当然あるが、これはW杯予選。過去に強豪国ですら落とし穴にハマることもあった厳しい戦いであり、油断は禁物だ。縦に、前に速い攻撃を志向するハリル・ジャパン。守備的に振る舞いスペースを消してくるであろうシンガポール戦を見据えて、主将の長谷部誠は語った。
「ボールを回しながら相手のスキを突くような練習にも取り組んでいる。さらにチームのやり方に加えて、選手個々のプレーの自己判断も必要になってくる」。
最後まで会見で熱弁を振りまいたハリルホジッチ監督。「予選突破を果たせば、世界でも有数の強豪国と戦っていく。彼らに追い付きたい。そのためにも、明日からのW杯予選が大切になってくる」。まだ、喉元には1年前の苦々しさが残っている。ただ、戦いは待ってくれない。日本の成功に向けて熱を帯びる指揮官に率いられ、ここから反骨のスタートを切る。(西川 結城)