13試合出場7得点。それだけでもエースストライカーと呼ぶに足る数字だが、ムルジャは途中出場が多く、ペースにすると90分あたり約1点。モンスター級の決定力で対戦相手を恐怖に陥れている。
しかし、ムルジャは現在、先発に名を連ねていない。一時期は負傷が重なることもあったが、現在のコンディションは万全。継続的に得点しながらも、戦術・戦略上の判断で途中出場が続いている。
それでも腐ることはない。むしろファーストディフェンスや競り合いなどの不得手な部分で求められるレベルに到達しようと、練習から取り組む姿が見られる。自らに与えられたのは“指定席”ではなく“自由席”のチケットであると理解し、真正面からチーム内の競争に挑んでいる。渋谷監督は「本来であればいろいろなストレスを抱えながらやっていると思う。それでもチームのためにやっている。本当にプロフェッショナルな選手だと感じている」と、その姿勢を高く評価する。
栃木戦でムルジャが投入されたのは57分。裏のスペースという大好物が生まれ始める時間帯だ。「出るからには時間にかかわらず、自分の最善を尽くそうと思っていつもやっている」(ムルジャ)というメンタルで臨めば、結果が出るのも当然だった。
「今回のゴールに関してはアキ(家長)から素晴らしいボールが来たので、それを利用するだけだった」
大宮の背番号8は事もなげに振り返る。エゴに走らず、リスペクトを忘れない。フォア・ザ・チームを体現するエースストライカーの存在は心強い。(片村 光博)