Feature 特集

[特集]FW 9 ウイルソン(仙台)/インタビュー

2016/11/28 6:00


忘れられない5年間、素晴らしい5年間でした

震災のあと、少しでも喜びを与えられてうれしかった

―5年間在籍したベガルタ仙台を離れるにあたり、率直ないまの気持ちを教えてください。

「自分でも本当に悲しいですし、残念な気持ちでいっぱいです。ただ、こういうこともあり得ることです。その中で自分はできるだけ全力を尽くしてきたので、悔いはありません。残念ですが、退団することになりました」

―ウイルソン選手にとって仙台は03年にはU-18ブラジル代表で訪れるなど、縁のある土地でした。ここで5年間暮らせたことを、どう思っていますか?

「本当に素晴らしい場所でした。クラブだけでなく、サポーターの方にも、街の方にも本当に良くしていただいて、自分の子供の教育面でも素晴らしい環境でした。素晴らしい5年間でした」

―東日本大震災翌年の12年からプレーし、Jリーグベストイレブンに選ばれるなど活躍されました。このチームでの活躍を振り返って。

「自分の仕事を果たせたと思います。震災のあと、いろいろな方が苦しい状況の中で、チームが団結して、彼らに勇気を与えられたこと、それから少しでも喜びを与えられてうれしかったですし、良かったと思います」

―12年当時の監督だった手倉森誠さんとの話で、印象に残っていることがあれば教えてください。

「(涙を浮かべ、声を詰まらせながら)自分がベガルタに来た当初に、一度二人で食事をしました。そのときに、『震災のあとに来てくれて本当にありがとう。一緒に頑張ろう』と言ってくれて、彼の気持ちが伝わってきました。そのおかげで自分も『やってやろう』という気持ちになりましたし、本当に感謝しています」

―この5年間で最も心に残っていることは?

「12シーズンに、チーム全体の力を合わせてプレーできましたし、その中で自分もJリーグのベストイレブンに選ばれました。このシーズンを通して、自分には良い思い出が残っています」

―ウイルソン選手のサッカー人生において、この5年間はどういう時期でしたか?

「5年間というのは本当に長い期間ですし、その間に自分が得たもの、信頼や敬意は大切にしています。自分のサッカー人生としては忘れられない5年間、素晴らしい5年間でした」

チームメートで印象に残っているのは赤嶺選手

―一番印象に残っているゴールはありますか?

「いくつかあるのですが、自分の中では、12年のJ1第5節の磐田戦で決めたゴール(※)が一番思い出深いですね」

【※】1-2で迎えた後半ロスタイムに、ウイルソンは菅井直樹からのロングボールを、相手に囲まれながら胸でトラップしてコントロール。その流れから左足でシュートして、見事同点ゴールを決めてみせた。

―一番印象に残っている試合は?

「先程挙げたゴールと同じ、磐田戦です。その試合まで仙台は開幕4連勝で負けなしで来ていて、磐田戦では終盤まで1-2でリードされていました。その中で終了間際に自分が同点ゴールを挙げて、それによって負けなしが続きました。全体的に、熱い試合だったことが強く印象に残っています」

―印象に残っているチームメートと対戦相手はいますか?

「チームメートで最も印象が強く残っているのは、赤嶺真吾選手(現・岡山)ですね。対戦相手では、横浜FMの中澤佑二選手です。本当に強い選手ですが、汚いプレーはしなかった。素晴らしい選手だと思います」

―この5年間を通じて、自分自身がこのチームに残せたものは何でしょうか?

「自分にとって大事なものは、この5年間で周りから尊敬されるようになりましたし、自分がどういう性格なのかも知ってもらえたということ。それが自分にとっては一番です。また、自分のプレースタイルとして、最後まで頑張る選手だということを、誰もが分かってくれたと思います」

―これまで仙台のエースとしてプレーしてきましたが、そのエースの座は誰に継いでほしいですか?

「活躍している選手は何人もいますが、ハモン(・ロペス)は力強く良いプレーをしているので、彼にはベガルタの歴史に残るような選手になってほしいですね」

仙台のサポーターは一生忘れられないサポーターです

―仙台でプレーを続けたかった強い思いがある一方、納得している部分もありますか?

「自分としてはもっとチームのためにやりたかったのですが、クラブとしてはいろいろな入れ替わりの時期ですし、その方針についてはどのクラブにもあることです。それを自分は受け止めています。プロとして普通にあることです。ただ、もっとベガルタでプレーしたい思いはありました」

―現時点で、来季について考えていることはありますか?

「まずは、強いウイルソンに戻りたいですね。強いウイルソン、みんなが期待しているウイルソンに戻りたい。来シーズンの年末には笑っていられるようにしたいですね」

―もしもほかのJクラブからオファーがあれば、Jリーグでプレーしたい気持ちはありますか?

「Jリーグでやりたいですし、それが第一希望です」

''―J1かJ2にはこだわりませんか?「そうですね。J1かJ2に関係なく、自分にとって良い挑戦であれば素晴らしいシーズンにしたいですね」

―Jリーグのどのあたりが気に入っていますか?

「Jリーグ全体が好きです。サッカーも好きですし、Jリーグ自体の形も、自分にとっても高いレベルのところでプレーをしたいです」

―仙台サポーターの印象は?

「素晴らしいサポーターですし、来たときからずっと応援してくれて、自分の応援スタイルを理解してくれて、自分のやりたいことを分かってくれました。スタジアムでの応援はとても熱く、一生忘れられないサポーターです」

―対戦相手として、仙台に戻ってくることもあるかもしれません。サポーターにはどのように迎えてほしいですか?

「難しいですね…。自分はプロなので、対戦相手になったとしたら、自分の仕事を果たさなければいけないし、プロとしての仕事をしなければいけません。けれども、自分としては大好きなサポーターを相手にするのは、本当に難しいし、辛いですよ。また、自分のプレースタイルを変えずに、相手でも自分の特徴を生かせて、本当にプロとして良い試合をしなければ、彼らの尊敬も得られないと思います。それをしてこそ彼らに尊敬されると思っています」

―最後にサポーターも含めて復興の道をこれからも歩み続けるホームタウンの人たちへメッセージをお願いします。

「本当に、今までの応援に感謝しています。自分も復興に少しでも貢献したことを誇りに思っていますし、自分もいつも皆さんのことを応援しています。これからも、頑張ってください」

取材:板垣 晴朗 取材日:11月1日

ウイルソン(WILSON)1985年3月21日生まれ、31歳。ブラジル出身。181cm/75kg。コリンチャンス→パウリスタ→コリンチャンス(以上ブラジル)→ジェノア(イタリア)→スポルチ・レシフェ(ブラジル)→陝西宝栄(中国)を経て、12年に仙台へ加入。12年には仙台をJ1リーグ・2位に導き、自身はJリーグベストイレブンに選出された。J1通算128試合出場40得点。

関連カテゴリ

EG 番記者取材速報

League リーグ・大会