Feature 特集

決戦/2018 FIFA World Cup Russia 日本vsポーランド プレビュー

2018/6/27 11:00


懸念は暑さ。GS突破のカギを握る指揮官の“見極め”

 2試合を終えて、日本は1勝1分の勝ち点4で現在グループHのトップを走る。大会前、誰がこの状況を予想できたただろうか。ほかのグループを見ても、強豪国の苦戦や中堅国の健闘が目立つ。やはりW杯は戦前の下馬評どおりには進んでいかない。これぞまさに、真剣勝負の舞台。そして日本もまた、周囲にサプライズを与える存在になろうとしている。
 第3戦の相手はポーランド。試合の舞台となるボルゴグラードは現在猛暑の真っ最中。連日最高気温が40℃前後まで上昇している。さらに初戦と2戦目の間は中4日空いていたが、今回は中3日。選手のコンディションがそろそろ気になり始める時期である。
「中3日の間隔はそんなに問題ではない。ただ次の試合はすごく暑そう。いま出ている選手だけではなくて、ここまで出場機会がない選手たちからも『試合に出たい、出てやるんだ』という強い気持ちを感じる。そういうものを引き出す監督でもあるので、そのあたりは策を考えているのではないですか」
 主将の長谷部誠も西野朗監督の采配に期待を寄せる。コロンビア戦、セネガル戦では途中交代も含めて起用法が見事当たっている。選手の状態を見極める眼力に長けた指揮官。ここは力の見せどころかもしれない。
 相手のポーランドは2連敗を喫し、すでにグループステージ敗退が決定している。レバンドフスキに関してはレアル・マドリー移籍を視野に試合を欠場する可能性もささやかれているが、ここで警鐘を鳴らすのが大迫勇也。“半端ない現象”を日本で起こしたストライカーは「チームはうまくいっていなくても、ポーランドには一流の選手たちがいる。いつ調子が戻るか分からない」と油断大敵の姿勢を示した。
 10年南アフリカ大会以来の決勝トーナメント進出なるか。さらに02年日韓大会以来、首位通過の可能性も十分ある。大事な一戦、期待が高まる。(文・西川 結城)

いまや代表の屋台骨。“鹿島ライン”が輝く理由

 屋台骨であるセンターラインがしっかりしているチームは強い。西野朗監督によって再編された日本代表では、1トップに大迫勇也、ボランチに柴崎岳、CBに昌子源という“鹿島ライン”が中央を任されている。大迫は2大会連続の出場だが、柴崎と昌子は初めてのW杯。それでも憶することなく、遺憾なく持ち味を発揮できているのは決して偶然ではない。
 まず、彼ら3人に通底するのは一発勝負での豊富な経験だ。日本で最もタイトルを獲り、最も多くの日本代表を輩出してきた鹿島で叩き込まれるのは「チームのために」という意識である。強化責任者の鈴木満は言う。
「歴代、勝つことにこだわってやってきた。自分たちのサッカーをすればいいわけではない。勝つためのサッカーをやってきたことが、少なからず生きているのだと思う」
 確かに、チームのために犠牲心を払う姿勢は随所に見られる。少しでもボールをキープして起点を作り、コースを限定しながらボールを追いかける大迫。CBが少しでもラクにボールを出せるように位置どりを変え、前線の選手にはできるだけ有利な状況でボールを受けられるように素早く縦のクサビを打ち込む柴崎。彼らの姿勢は特に顕著だ。
 また、大会直前の監督交代が彼らを際立たせる要因となった。ヴァイッド・ハリルホジッチ前監督は厳格なプレーモデルやゲームプランに選手をはめ込んで戦おうとしたが、西野現監督は選手の特性を生かすサッカーに明確に切り替えた。そこで、抑制されていたものが一気に解放され、主体性をもって戦うチームへと変貌した。
 もっている個性を生かすやり方は鹿島の戦い方でもある。相手の出方や試合状況を見ながら戦うことは、彼らにとってはごく自然なことだ。セネガル戦ではあえてボールをもたされた昌子が、すぐに相手の狙いを感じとり、自ら持ち上がるなど状況に合わせたプレーを見せた。
 幸運もあった。コロンビア戦は試合開始早々に相手が10人になったことで、落ち着いてプレーができるようになった。“鹿島ライン”の先輩格に当たる内田篤人は「普段のプレーが通用すると思えるところまでもってきちゃえば、意外と頑張れる」と指摘する。「4年前はそこまでもってこれなかった」。
 15年、トニーニョ・セレーゾがすべてにおいて指示を出していた前半戦は泣かず飛ばずだったが、石井正忠に監督が代わったことで、鹿島は生き生きとしたサッカーをするようになり、リーグカップタイトルを獲得。さらに翌16年にはリーグ優勝を果たし、クラブW杯で決勝の舞台まで上り詰めた。レアル・マドリーをあと一歩まで追い詰めたのは柴崎の2ゴール。いまの日本代表を取り巻く状況は、そのときとよく似ている。(文・田中 滋)

消化試合ではない。誇りをかけて1勝を目指す/Analysis of POLAND

 FIFAランキング8位、抽選会でもポット1だったチームが2連敗で敗退が決まってしまうと誰が予想できただろうか。ベスト8に躍進した2年前のユーロを含め、ここ数年は欧州のチーム相手に結果を出してきたが、より“異文化対決”となるW杯は勝手が違ったとも言える。
 レバンドフスキとミリクを縦に並べる[4-2-3-1]で臨んだセネガル戦は相手のハイプレスと攻撃の圧力に苦しめられ、強力な縦の2トップをほとんど生かせなかった。コロンビア戦も日本戦より明らかに復調したハメス・ロドリゲスを中心とした攻撃とスピーディーなカウンターに屈した。頼みのレバンドフスキも不発。ナバウカ監督はセネガル戦では4バック、コロンビア戦では3バックを用いて先発も4人入れ替えた。さらにすでに敗退が決まってしまったため、どういう布陣、どういうメンバーで日本戦に臨むのかは非常に読みにくい。
 若い選手に経験を積ませるプランも考えられるが、W杯は重要な晴れ舞台。まして開催地が歴史的な因縁も深いロシアということもあり、1勝もしないで帰るわけにはいかない。彼らにとっては誇りをかけた戦いであり、その勢いに呑まれると厄介だ。
 不透明なのは本来のディフェンスリーダーであるグリクのコンディション。合宿中に肩を痛めて大会の参加に黄色信号が灯ったが、そのままチームに帯同してコロンビア戦では途中出場を果たしている。もう一つ、ここまで無得点のレバンドフスキを先発で使うかだが、絶対エースを無得点のまま帰すわけにはいかないだろう。ただ、まだ出場していない選手にチャンスが与えられる余地があるのも確かであり、セリエAのサンプドリアに所属し、先のポーランド代表で主軸を担うことが期待されるリネッティを起用してくる可能性も十分ある。またGKもここまでシュチェスニーが使われているが、大会直前に第2GKに“降格”したファビアンスキの出番となるかもしれない。
 とにかく日本はスタート時にポーランドの布陣を早めに共有し、プレーの判断材料にしていきたい。(文・河治 良幸)

関連カテゴリ

EG 番記者取材速報

League リーグ・大会