この特集では大会期間を通して、Jリーガーを中心に日本サッカー界から幅広くW杯を語ってもらいます。
今回のテーマは
W杯での日本代表の戦いを見てどう思った?です。
●田坂 和昭監督(大分)
A.個で勝てないときの対応
オリジナリティーをもっと前面に出し、選手の特性も出す
グラウンドコンディションがめちゃくちゃ悪くても、それを感じさせないのが個の技術の高さ。個で勝てないときに組織で勝つために何をしなくてはいけないのかという視点では、昨季J1で勝てなかったわれわれと重ねて考えてしまう。個の技術を上げ、組織としてコレクティブなサッカーをしなくてはならないという部分では本当に重なる部分が多いので、非常に勉強になった。
代表選手たちは本当によく頑張ってくれたなと感謝している。日本の良さは俊敏性や組織力。長友佑都のようにスピードや俊敏性は世界で通用する。本田圭佑や香川真司は狭い局面でボールを持ってもあわてない。それらを生かした日本のオリジナリティーをもっと前面に出し、個々の選手の特性も出ればと思う。岡崎慎司(清水時代に指導)はドイツでやっているだけあって堂々とプレーしていた。しゃべりは相変わらず良くないから本をもっと読んだほうがいいが(笑)。長友や岡崎らはコンスタントに(欧州で)試合に出ているので、日本のメンバーの中では抜きん出ているなと感じた。
●影山 雅永監督(岡山)
A.1対1の対応の弱さ
つないでいくだけでは、“ぬるいチーム"になってしまう
アルベルト・ザッケローニ監督が進めていた、パスして、動いて、相手を撹乱していく、ということはコロンビア戦の前半の途中からできていたと思う。でも決定機は多く作れていない。「日本人は1対1で体をぶつけ合ったら勝てない。だからボールを動かす」というネガティブな思考から改善しないといけないと思う。
日本人の個性を生かしつつ、そこからシュートに持っていくために、大事なのはスピードじゃないか。大久保嘉人が何回か一人で突破をしかけたけど、途中でつぶされていた。そこでつぶされる前に、追い越していく味方が出てきてもう一回スピードアップするとかね。そういう武器がないと、つないでいくだけじゃ“ぬるいチーム"にしかならないと思う。
3、4失点目をカウンターでやられていたけど、3失点目は内田篤人が1対1を止め切れなくて、4失点目は吉田麻也が対応できていなかった。「日本人は1対1の対応が弱いから世界に出て行け」となって、出て行った二人が1対1でやられていたのは悲しいなと思った。
●渡邉 晋監督(仙台)
A.4年後へのスタート
今度は仙台から代表選手を
コロンビア戦での日本は、覚悟して攻めに出たところはあったけれど、勝たなければいけない試合で先制点を与えてしまったのが大きかったのかな、と思う。
残念な結果にはなったが、もう4年後に向けた戦いは始まっている。今日(25日)の練習を始めるときに、すかさず里内さん(里内猛フィジカルコーチ)が「4年後へのスタートだぞ。次のW杯を目指す準備だぞ」と言ってくれた。その言葉で、みんなもその気になってくれたのではないかと思う。
今度のW杯で、日本がもっと強くなることもそうだし、今度は仙台からも代表に選手を送り出したい。そのときは、僕もロシアまで見に行こうかなとも思っている。
●GK 中林 洋次(岡山)
A.同じ世代の選手として
強いチームが苦労しているW杯
日本の敗退はしょうがないなと思う。「最強」と言われてきた中で勝てなかった理由は何なんだろうと思うけれど、今回は同じ世代の選手たちが多く、コロンビア戦にはアオちゃん(青山敏弘)も出ていた。もしあの場にいたら、めっちゃ悔しいんだろうなと思いながら見ていた。本当にやり切れないような気持ちになるんだろうなと。
今回のW杯は強いチームが苦労している。ちゃんとした戦術の下で一体感のある戦いができれば、強い相手も負かすことができるんだなと。自分たちと重ね合わせるところはある。コスタリカやチリ、メキシコなど、一体感を持って頑張るチームがすごく印象に残るし、見習うところがある。
●MF 遠藤 康(鹿島)
A.もっと泥臭くやらないと
コロンビアの強さが世界基準
強いプレッシャーの中、本当によくやっていたと思う。初戦であれだけ叩かれたあとだったから。でも、コロンビアが世界基準なんだと思った。あれくらいの強さがないと決勝トーナメントには行けないし、決勝にも行けない。メディアが持ち上げ過ぎた感じもする。
バルセロナなどのサッカーをやりたいと思ったのだろうけど、日本はもっと泥臭くやらないといけないかなと。うまいサッカーより勝つサッカーをやらないといけない。攻める時間も守る時間もあって、90分で勝てばいいと考えるべきだった。自分が代表に入るとかは分からないけど、まずはチームが優勝できるようにしたい。そうすれば注目してくれる。鹿島で結果を出したい。
●DF 鎌田 次郎(仙台)
A.日本人プレーヤーの課題
各国のスペイン対策にハマった
W杯では一つのトレンドがあって、それに対抗するための戦術を練って、今度はそれが次のトレンドになって…というのがある。今大会は“スペイン対策"が目立つ大会かな、と。日本はポゼッション重視のやり方を取り入れて発展させようとしているうちに、各国で進んでいるその対策にハメられたような場面が出た。
コロンビアはメンバーが代わっても守備を固めるべきときは固めることができて、カウンターから4点を取った。自分たちが主導権を握る時間を長くすることは大事だし、そのための4年間の努力は間違っていないと思う。それでうまくいかないときにどうするかが、僕たち日本人プレーヤーにとっての課題だと思っている。