フィジカル勝負ではなく、自分たちの形を
両者ともに粘り強く堅実なサッカーを持ち味とする。圧勝は望めないかもしれないが、なでしこジャパンはスキのないプレーで90分間を戦い抜きたい。
フランスのモンペリエに属する宇津木瑠美は、「(オランダは)フィジカルが強く、大きくて速いチーム。でもここまで来たらどの国もフィジカルは日本より上。相手よりも自分たちの形に重きを置きたい」と、相手のイメージに振り回されない姿勢を強調した。
佐々木則夫監督はグループステージ3試合を振り返り、「攻撃の流れを見ると、展開することが少な過ぎたという印象。1タッチ2タッチでさらに正確な技術が必要」とコメント。バンクーバーにあるBCプレイス・スタジアムでは第1戦・スイス戦(1○0)、第2戦・カメルーン戦(2○1)を戦ったが、その人工芝はボールの勢いが止まりやすく、日本は苦労した。しかし、今度のオランダ戦は同会場での3試合目。バンクーバーに入ったばかりのオランダとは対応力に差があるはずだ。
オランダの攻撃は、MFスピッツェからのパスで両ウイングを走らせるスタイルが特徴だが、SBが上がってくる回数は少ない。日本のSBはできるだけ1対1でクロスを阻止したい。ボールを奪った瞬間、大野忍と宮間あやの両サイドハーフが下がり過ぎていなければ、今度は相手の守備が整う前に攻撃をしかけることができるだろう。
なお、佐々木監督とオランダとの間には、浅からぬ縁がある。佐々木監督の著書『なでしこ力 次へ』(講談社)によれば、子供のころに初めて世界のサッカーを映像で見て心酔したのが、ヨハン・クライフをリーダーとするオランダ代表だったという。また、大宮の強化育成部長だった当時、大宮の監督はオランダ人のピム・ファーベク氏だった。オランダのサッカー哲学は、指導者としての道を歩んだ佐々木監督の血潮になっているとも言える。「W杯で本家オランダから勝ち星を挙げる」という指揮官のモチベーションも高いだろう。