序盤は相手の出方を窺い、ロジカルに攻略して3ゴール
大宮が様子見のような形で試合に入ったことで、横浜FCにとって付け入るスキがないわけではなかった。序盤はターゲットとなる大久保を大宮の左SB和田のところに当てて起点を作ることに成功し、22分にはその形から右サイドを小野瀬が抜け出してクロス、大宮最終ラインの連係ミスも重なって松下が決定的なシュートを放った。しかし、終わってみれば横浜FCの決定機はこの一度きりだった。
「相手がどういうふうに来るかを探りながらやっていた」(渋谷監督)。結果として一つの決定機を与えることになったものの、大宮は相手の出方を踏まえた上で徐々にアジャストしていった。27分に生まれた横谷の先制点は、そうした“リサーチ”の成果がダイレクトに結果につながった。「相手選手はアキ(家長)を見過ぎる部分があったので、うまいこと間に立ってもらおうと意識していた」(横谷)。家長にボールが入った時点で横浜FCの陣形は崩れ、自由を得た横谷が余裕を持ってミドルを突き刺した。
後半になり、大宮の勢いは加速していく。しっかり組み立てて攻撃し、ボールを失っても即座に回収するサイクルが続き、ボディーブローのように横浜FCにダメージを与えていく。横浜FCが耐え切れなくなるのも、時間の問題だった。「相手がバランスを崩してくれたという感じだった」(家長)。55分にクイックリスタートからムルジャが加点し、さらに58分には波状攻撃から家長が3点目を叩き込んだ。
3点をリードしてからの大宮は、よりじっくりと相手を追い詰めるような試合運びに徹した。ボールを奪いに来るまで急がず回し、いざ奪いに来れば簡単にかわしてフリーになった味方へとパスを通す。67分に泉澤、76分に途中出場したばかりの清水慎が決定機を迎えるなど、攻勢を緩めることなく、それでいて無駄なリスクは負わずに試合を閉じた。
相手を見て、戦い方の引き出しの中から最適解を導き出す。ロジカルに横浜FCを攻略した大宮が、首位の首位たるゆえんを見せ付ける90分間だった。(片村 光博)