試合前から降り始めた雨は、西京極のピッチにいくつもの大きな水溜りを作った。ボールは走らず、突然ピタリと止まる。両チームが「割り切って」ロングボールを蹴り合った前半は、まさに我慢の根競べ。互いにゴールを堅く閉ざした。
試合が動いたのは後半早々だ。雨が収まり、ピッチに乾き始めた中、京都が先制に成功する。49分、内田のミドルが大黒の足元に入り、駒井がこぼれ球に反応。さらにこぼれたボールを大黒が押し込んだ。ただ、京都は先制後に「1点(追加点)を取りに行くのか守り抜くのかハッキリしなかった」(有田)。試合を支配し切れず、「ピッチの状況を見てボールが走るならつないでいく」(阪倉監督)という狙いを持った栃木がポゼッション率を高める。そして、「自分たちの意図で奪い、そこから出て行く」(阪倉監督)栃木のサッカーが発動。80分、ボール奪取すると右サイドからのクロスをゴール左にいた廣瀬が折り返し、「どこかに当てれば入る」と飛び込んだ中美が同点弾。追い付かれた京都は再度ゴールを目指すが、「中盤でワンクッション、起点が必要だった」と原川は悔いる。停滞した攻撃は最後まで機能性を欠いた。
そして、ラストワンプレーは再びの中美だ。京都ゴール前で得た直接FKを鮮やかに決勝弾に変えた。「初めての逆転勝ち。連勝へのきっかけになれば」。中美は万感の思いを力強く口にした。(小野 慶太)