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J1リーグ 第17節
6/27(土) 19:00 @ 味スタ

FC東京
3
1 前半 0
2 後半 2
試合終了
2
清水

Column 試合後コラム

[FC東京]FW 14 武藤嘉紀 “自分の家”を巣立つ若者。家族は力強く、その背中を押せばいい

2015/6/29 14:36

 武藤嘉紀にとって、FC東京は自分の家のようなモノだった。思春期の多感なころから、ここで泣いて笑って、たくましくなった。そんな勝手の知れた場所と、別れるときが来た。もちろん移籍は自分が選んだ道。その決断とは裏腹に、寂しさがないと言えば嘘になる。試合後、マイクの前に立った。感情があふれた。

「泣かないと決めていたんですけど…」

 何度も深呼吸をしたが、むせび泣く自分を抑えることができなかった。この1年半、誰よりも結果を出し、身を粉にして戦った。武藤は“自分の家”を愛し、周囲で見守り続けた仲間やスタッフ、サポーターら“家族”は彼を愛した。こんな居場所は、そうはない。寂しさがこみ上げ涙が止まらないのは当然だった。

 最後の試合はノーゴールに終わった。「点が欲しかった」。ただ、こうも続けた。「でも、(前田)遼一さんにアシストできてうれしかった。これからは遼一さんが“FC東京のFW”として活躍してくれると思う」。ファンにとっては寂しく聞こえるかもしれないが、チームを去る武藤は先輩FWに確かに思いを託した。

 心残りがある。「何一つ、タイトルを残せなかった」。そうこぼした武藤は、何度もこう連呼した。「これから日本代表やドイツで結果を出すことが、皆さんへの恩返しになる」。自分の成功は周囲の人々の喜びになる。何より、FC東京ではそれを実感する瞬間の連続だった。ゴールを挙げれば、拍手や歓声になって喜びが返ってきた。もはや自分のためだけにプレーするのではない。恩返し。たった1年半だが、この期間で彼は立派なプロフェッショナルになった。

「プレッシャーはどこに行っても掛かる。それを力に変えたい。(ドイツでも)結果を出します」

 スタジアムをあとにするころには、もう涙は引いていた。寂しさとも別れを告げ、いつものように前を向く。FC東京に、もう武藤はいない。一時の涙を拭い去り、さらなる厳しい勝負に歩み出た若者。家族はいま、力強くその背中を押せばいい。涙はいつか、彼がまた家に帰ってきたときのうれし泣きにとっておけばいい。(西川 結城)

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