勝利への執着心を見せた青赤が接戦を制し2位浮上
集まった観客数は4万人を超えた。武藤の最後の勇姿を見るために集まった人たちが多かったが、もちろん勝敗の行方にも視線は注がれた。戦前までの順位は3位と18位。しかしその順位差はあまり反映されない接戦が、終始演じられた。
前半から清水のテクニックを重視したパス回しが、FC東京陣内で繰り広げられていく。そこにピーター・ウタカというタフなフィジカルを持つアタッカーが加わり、サイドからチャンスを作る。26分にはウタカがペナルティーエリア内で好機を迎えたが、これは力ないシュートとなってしまった。さらに35分には若手の水谷が抜け出したが、右足から放たれたボールはバーの上へ。ことごとく清水は決定機を逃していった。
そのスキを逃さず、FC東京は先制点を奪う。得点者は武藤ではなく、東。得点後、サポーターが集まるゴール裏からは東のチャントが繰り返されていた。そしてそのチャントは後半、この男にも繰り返された。移籍後、いまだホーム無得点だった前田。60分、66分と立て続けに点を決め、堂々4万人超の大歓声を一身に浴びた。「これまで全然勝利に貢献できていなかった。これからは勝利につながるゴールを決めたい」。この前田のゴールは本人だけでなく、ほかの選手も待望していたモノだった。「(前田)遼一さんも結果が出なくて、悩んでいた時期もあったと思う」(武藤)。清水を突き放す得点が決まるたびに、武藤が飛びはね、太田が抱き付き、東が大きなガッツポーズで自分のことのように喜んだ。
最後は清水に1点差まで追い詰められた。いまではかつての堅守も揺らぎ、決して盤石な戦い方ではない。ただ武藤が旅立っても、彼らがこの日見せた熱量、それを勝利への執着心へと昇華させていけば、青赤軍団は戦えるはずだ。(西川 結城)