東京VのCBは、第20節の時点で異例とも言える計6人の選手が先発で起用されている。4バックを採用するチームであれば、2人の先発がいてサブに1人。出場停止やけがなどのアクシデントがあっても、3人から4人が出場機会を得ているのが一般的だ。
東京VのCBがこれだけ流動的でありながら、破たんしていないのは井林の存在が大きい。出場停止とけががあった以外はすべての試合で先発フル出場。つまり井林のパートナーを固定できていないのだが、変化があっても「全然、大丈夫」と飄々とした表情で話す。実際、彼がいると守備に安定感が出る。失点数が目立って少ないわけではないが、内訳はセットプレーが大半(20失点中13失点)。井林がいることで、監督としては相手の特長に合わせたCBを起用ができるという利点もある。今節で言えば、高さと強さのあるウェズレイを井林とともに起用することで、ハイボールやムルジャへの対策を行えた。
井林は「(コンビを組む)選手によって(プレーを)変えている」。例えば、ウェズレイのような選手と組めばカバーリングに注力し、逆に田村のような選手と組めば積極的にFWへ当たりに行く。基本的には読みとポジショニングで体格差を補いながら守備をする選手だが、必要とあれば体を当てることもいとわない。ビルドアップの精度、身長差を感じさせないヘディングの強さも含め、CBとして総合力の非常に高い選手であり、パートナーに合わせる柔軟性も持ち合わせる。
「誰とやるにしても、その相方が生きるようなコーチングをしたり、スタイルに持っていけるようにするのが自分の役目」。今節のようなコンビを組む選手が代わった試合で、主将の存在感は大きく映る。(石原 遼一)