なでしこジャパンのレギュラーに新しく定着した有吉佐織が、右SBからチームに勢いをもたらしている。ここまでグループステージ第2戦・カメルーン戦(2○1)を除いた4試合にフル出場している有吉は、初のビッグトーナメントにも物怖じせず、ラウンド16・オランダ戦(2○1)では代表初得点となる巧みなシュートを決めた。続く準々決勝・豪州戦(1○0)でも前半は相手のカウンターを寸断し、後半は攻勢に出る。59分に宮間あやの決定的なシュートを呼び込むクロスでチャンスを作ると、80分にはオーバーラップから体の動きだけでフェイントをかけ、相手ディフェンスラインを崩してシュート。いずれも連係を高める川澄奈穂美からボールを受け、チャンスを作った。豪州のアレン・スタイチッチ監督は、前日会見で要注意人物として有吉の名前を挙げていたが、その猛烈な攻め上がりを止めることはできなかった。
有吉は11年の女子W杯ドイツ大会と12年のロンドン五輪で、バックアップメンバーに入ったものの、ピッチは遠かった。だがその悔しさを振り払うかのように、今大会では攻撃的なスタイルをカナダの地でいかんなく発揮している。「得点にも関わっていきたい」と臨んだ初の女子W杯。グループステージ第3戦・エクアドル戦(1○0)では「審判が少しボディコンタクトに厳しかったので、そういうところも声をかけ合いながらプレーした」と話すように、冷静さも併せ持つ。
4年前の女子W杯で敗れたイングランド戦を経験していない有吉は、この試合も臆することなく勝利のために右サイドを駆け上がるだろう。「オーストラリア戦はテンポ良く日本らしくボールを動かすことができた。切り替えを速くして主導権を握って進めたい」と気合いは十分だ。「イングランドは(準々決勝)カナダ戦でミスをうまく突いて勝ってきた。決めるべきところで決めてくる。もしミスが起こっても慌てずに対応したい。次も変わらず、勝ちたい気持ちが大切になる」。見据える準決勝もまた、大舞台で大暴れするつもりだ。