なでしこジャパンは主導権を捨てる決断をした。
「相手は8番(J・スコット)のヘディングを起点に攻めようとしているのが明らかだった。(自分たちが)前からプレスは掛けられないと、途中で割り切った。8番に入るボールを(宇津木)瑠美と自分で消しながら、後ろを4枚でカバーするように切り替えた」(宮間あや)。
幾度となくチャンスを作られたが、ペナルティーエリア内に人数を割いて、粘れるだけ粘る。相手のシュートがクロスバーを叩くなどの幸運もあり、日本は失点をPKの1点のみにとどめた。
イングランドは、自分たちのサッカーを貫いた。「私たちが引いたあとも、イングランドは同じパターンで攻めて来た。逆に、引いたあとにつながれるほうがイヤだったと思う」(有吉佐織)。
日本に勝機が訪れるとすれば、我慢の連続から相手の足が止まった終盤、岩渕真奈の投入で流れを変えること。そして、疲れた時間帯でも精度が落ちない“技術のスタミナ”でワンチャンスの訪れを待つこと。そして、そのとおりになった。
中盤でこぼれ球を拾っては拾われ、というプレーがいくつか続いたあと、熊谷紗希から川澄奈穂美へパスがつながる。同時に大儀見優季と岩渕が全力ダッシュ。「中は二人。絶対にクロスを上げる!」と決めた川澄が折り返す。相手のオウンゴールにつながる日本のプレーは関わった選手が全員「このチャンスで決める」と力を振り絞ったからこそだった。