二つの采配が流れをガラリと変える
勝利を引き寄せたのは、指揮を執って4試合目となる42歳の新指揮官の采配だった。 前半は「栃木のほうがアグレッシブで少し押し込まれる展開が長くなってしまった」と西ケ谷監督が振り返るように、水戸にとって苦しい時間帯が続いた。GK本間の好セーブや守備陣の粘りによってなんとか無失点で切り抜けたとはいえ、後半に不安を残す内容となった。
しかし、ハーフタイムに決断した一つの采配が流れを変えた。馬場と山村のポジションを交代。すると、馬場がトップ下の位置でタメを作り、サイド攻撃を誘発。山村は中央に切り込んで得意のミドルシュートからゴールを狙った。61分に不可解な判定によるPKで先制点を許したものの、水戸は攻め手を緩めることなく、栃木ゴールを襲い続けた。
そして二つ目の采配によって、チームはさらに勢い付いた。71分に鈴木、72分に三島を投入。その5分後だった。岩尾からの縦パスを左SBとCBの間で受けた鈴木が相手のディフェンスラインを突破。クロスをゴール前に上げると、三島がGK手前でダイビングヘッド。ゴールに突き刺して同点に追い付く。
水戸の勢いは止まらなかった。その2分後、左サイドの田中からの高速クロスは、DFとGKの間に走り込んだ吉田の頭にドンピシャリ。GKが一歩も動けないシュートはゴールネットを揺らした。水戸は終盤に守備のスペシャリスト石神を投入し、危なげなく試合を終わらせた。
若き指揮官の勝負勘が冴え渡り、鮮やかな逆転勝利を収めた水戸。苦しみ続けた1カ月前の姿は過去のモノとなりつつある。(佐藤 拓也)