内容で言えば、ホーム讃岐の圧勝だっただろう。多くの時間帯を敵陣でプレーし、12本のCKを得るなど愛媛をあと一歩のところまで追い詰めた。シュート数も愛媛の3倍の9本。しかし、「勝たなければいけないゲーム展開だった」(北野監督)はずのゲームでゴールネットは一度も揺れることはなかった。
一方、劣勢の立場にあった愛媛は試合を通じて相手に主導権を渡しながらも、「アウェイで勝ち点1は悪くない」(西田)と、その表情に暗さはなかった。
勝利に近い位置にいたのは讃岐だったことは間違いないが、より戦前のプランに近いサッカーをしたのは愛媛だったかもしれない。木山監督は「(讃岐相手に)無理にこじ開けようとするとやられるチームが多い。自分たちはそういうチームになるべきではない」と守備で必要以上のリスクを負わず、ボールを奪えばシンプルにロングボールを前線に供給する。本来、パスサッカーを志向する愛媛だが、自らのそのスタイルを一旦捨ててでも、しぶとく勝ち点を狙いに行くことを選択。結果として勝ち点1を得たことは、“ベスト”とは言わずとも狙いどおりの“ベター”な結果だったはずだ。自陣でセットプレーを許す場面も多かったが、雨でピッチ状況が悪化したため失点のリスクはほぼセットプレーに絞られたのも好都合だった。GK児玉の再三のビッグセーブを始め、讃岐のお株を奪う粘りの堅守で“手土産”を持ち帰った。(松本 隆志)