
川崎Fは今回の経験をこの先へとつなげたい
「良いモノが見れたね」。風間監督は笑顔でこちらに一言かけてスタジアムを後にした。この試合は間違いなく、チームにとって良薬になると確信していたのだろう。「負けたのはプロとして悔しい」(中村)ことは間違いないが、それ以上に個人個人が得られたモノは非常に大きいだろう。2ndステージの開幕前に「満足してはいけないというのはすごく感じさせられた」(谷口)ことは収穫と言える。風間監督はこのサッカーをやることで生じる副作用として“できるがゆえにやらない”という点を語っていたのだが、それはある種“自分たちの実力をもってすれば勝てるだろう”というおごりとも言い替えられる。自信と過信は紙一重であり、ゲームに臨む際に後者が勝ってしまえば求めるサッカーの質は落ちてしまう。だから風間監督は「求めるモノに上限はない」と常に言い続けてきた。
川崎FがJリーグでもトップクラスの技術を持つことに異論はない。それゆえに周囲からの賞賛の声も多く聞かれる。すると意図せずとも自然に慢心が生まれることがある。そういう意味ではこの日の試合で「自分たちはまだまだ」ということを体感できた価値は大きい。「パスのスピード、パスの質、トラップの質。そういうすべての面で向こうが上。はるかに上だった」(中村)。自分たちが自信を持っている部分で、相手に凌駕された経験は国内で戦う中ではなかなか味わえないモノだ。さらに、守備の甘さやスキを徹底的に突かれて6失点。攻守においてこのように“授業”を受けることはなかなかない。この日の90分は、間違いなく川崎Fの進化を加速させてくれるだろう。(竹中 玲央奈)