鳥栖の変化を最も感じ取っていたのは対峙していた中村だった。「ホームで対戦したときは鳥栖が前から来ていてバテたところをしっかり崩せたが、今回に関してはずっと向こうが一定の距離で無理に出て来ない守備をしていた」。この言葉どおり、今季序盤の鳥栖はハイプレスを志向していたが、体力の消費も激しく後半に失速することが多かった。前回の川崎F戦(1st第13節・3○2)はその象徴的な試合だったが、1stステージの終盤から昨季までのブロック守備を意識し、守備を再整備してきた。「負けている鳥栖が自分たちのペースを崩さなかった」と中村が言うように、先制されても鳥栖は決して慌てなかった。「どうしても外に逃げてしまう」と中村は悔やんだが、裏を返せば鳥栖がそれだけ中を固め、守備を機能させていたということでもある。「久しぶりに手ごたえがある」という菊地の言葉も決して強がりではないだろう。
しかし、ブロックを意識したことでプレッシャーを掛けられず最悪な試合の入りにもなった。ハイプレスを志向していた際には抜群の入りを見せてきていただけにその良さを残しつつ、使い分けできればさらに進歩を図れるだろう。鳥栖にとっては前向きな課題を残す引き分けだった。(杉山 文宣)