勝負どころを耐え切った太陽王が一歩前進
吉田監督が「多少ブサイクにはなりましたけど」と評するとおり、決して美しい勝利ではなかった。
柏は28分、工藤がCKからのこぼれ球を押し込んで先制する。対する横浜FMは後半に入るとアデミウソンを投入。ボールを持ったときの破壊力が一気に増した。柏は58分、主将の大谷を下げてMF茨田を起用し、布陣も[4-2-3-1]に変更する。「秋野の周辺をウロウロされて苦しかった。早めに(ボランチに)もう一人を置く策を取った」(吉田監督)という修正で、チームの重心はやや後ろに下がった。
ボールを握っても崩し切れない。内容が優勢でも勝ち切れない。それが柏の“持病”となりかけている現象だ。しかし、この試合の展開はいつもと完全に逆だった。後半の柏はシュートが1本のみ。横浜FMにボールを握られ、押し込まれる展開だった。
吉田監督は「誰もあれで良いとは思っていないと思う」と前置きしつつ、「無茶苦茶になろうともゴールだけは割らせないということが大きなヤマだった」と説明する。引いて受け身になるのではなく、ボールを握ってリスクを避ける。それが柏の目指している方向性だろう。しかし結果と自信を欠いたチームは焦りからプレーの狂いが生じやすく、“余裕の試合運び”は難しい。勝負どころで耐える、安い失点をしないという課題をクリアしなければ、その先には進めない。
柏はそんな課題をクリアし、勝ち点3を積み上げた。主力の移籍やけが人があった中で結果をもぎ取り、降格圏の16位・松本とも勝ち点6の差が開いた。柏が美しい白鳥として羽ばたくためにまず必要な、“みにくいアヒルの子”が誕生した試合だった。(大島 和人)