若き攻撃陣、粘りの守備、そして、指揮官の采配
アウェイの東京Vは、北九州ディフェンスラインへの積極的なプレスと、ゴールに向かうスピーディーなプレーによって序盤の主導権を握る。その勢いを開始5分の先制点につなげた。
ロングボールを処理しようとする北九州の前田に杉本が猛然とプレスを掛けてコントロールミスを誘発する。ボール奪取に成功した杉本が中央の高木大にラストパス。約1年ぶりに“FWとして”先発した高木大は、「自分でも驚くほど冷静に決められた。それも利き足ではない左足で」確実に沈めた。
この先制ゴールを含む30分間にわたる東京Vの優位な試合運びは、高木大ら若き攻撃陣4人のはつらつとしたパワーによるモノだったが、以降、約60分間にわたるリードの維持は、守備陣の粘り強さによるモノだった。その粘り強さを生んだ高い集中力を「台風11号の影響で移動が困難だったにもかかわらず、ここまで来てくれたサポーターのおかげ」と言った冨樫監督だが、その指揮官自身の采配も実に高い効果をもたらした。「コンディションの問題」(冨樫監督)で55分、右SBの田村の交代を余儀なくされると、高木善を攻撃的な位置に入れ、ボランチの三竿を1列下げ、4バックからウェズレイ、三竿、井林の3バックに変更する。「相手2トップへの対応を明確にするため」と、そのシステム変更の理由を明かした冨樫監督は、ボールを奪ったあとの攻撃が非力で、「中盤の両脇を相手にうまく使われて」(冨樫監督)、北九州に押し込まれる時間が続くと見るや、再び4バック([4-4-2])へ戻す。両SBの攻撃参加と高木善、アラン・ピニェイロの途中出場組で作る攻撃の時間が心身の両面で大きな助けとなると考えたからだ。
実際、終盤の北九州の猛攻にも、“休息”を得た守備陣は体を張りながら耐え続け、チームはJ1昇格プレーオフ圏である6位浮上となる勝利を手にした。(島田 徹)