前半をスコアレスで耐えたことが、まず大切な収穫だった。柏は仙台に8本のシュート、6つのCKを許した一方で、相手を崩した部分がほぼ皆無。直近の2試合を無失点で乗り切っている守備こそ真価を見せてはいたが、決して余裕のある展開ではなかった。普段は中盤の3人がインサイドでボールを受けてリズムを作る柏に対して、仙台は2トップと中盤が挟む守備で対抗。柏は“経由地”を塞がれてしまい、前線にボールをつけられずにいた。
しかし、ハーフタイム後に流れが変わる。大谷が「後ろで触ってリズムを出すようにした」と明かすように、柏は相手のブロックの外側で触る意識を高めていた。大谷、小林、武富らの2列目が守備ブロックの内、外と出入りして絡むことで、人とボールに流動性が生まれる。アンカーの茨田、CB鈴木も相手FWの横に顔を出して前向きで持つ機会が増え、柏は攻めのスイッチが入るようになった。形こそセットプレーだったが、間違いなくその帰結として生まれた、87分の決勝点だった。
もちろん課題が皆無というわけではない。柏は良い持ち方をしている選手のミスから、ピンチを迎える場面が散見された。しかし、吉田監督は「後半のミスはポジティブなモノ」と説明する。戦術的なトラブルに比べれば根の浅い現象だからだ。
そもそもクオリティーを上げていく作業は永遠に続くモノだ。「前に入ったところの精度をどれだけ上げられるか」(大谷)という部分も、まだチームが目指すレベルからほど遠い。しかし、そこは腰を据えて追求していくべき究極のテーマだ。
柏は守備の粘り強さに加えて、“しっかり守備をしてくる相手を崩す”という2ndステージを乗り切るための喫緊の課題で成果を出した。カギの開け方さえ覚えれば、試合運びは間違いなくラクになる。太陽王が3連勝という結果に留まらず、攻撃の内容に大きな収穫を得た戦いだった。(大島 和人)