若さにミスは付きモノだ。だからこそ、それに直面したときの対応は二つに分かれる。「なぜ、できないんだ!」と「大丈夫、君たちならできる!」というモノに。石井正忠監督は「選手にプレッシャーを与えるやり方は好きじゃない」と、支配からの解放を決断した。その結果、練習時から選手たちが取るコミュニケーションは活発化。練習の中から建設的な話し合いが生まれ、小さな問題が次々とクリアされていった。
その姿勢は試合をとおしても継続される。30分に先制したあと、いつもならバタバタする展開はまったく乱れることがなく、70分に同点に追い付かれた場面でも慌てない。すでに体力は消耗し、再び推進力を持ってゴールに迫るのは難しくなっていたが、そこで無理にバランスを崩すのではなく、セットプレーから追加点を挙げる理想的なゲーム運び。刻一刻と変化する試合状況に合わせながら臨機応変に戦った。
選手からは遠慮が消えていた。「満男さん(小笠原)と話す機会がいつもより多かった」と昌子。これまでどうしても遠慮が先立ったが、ボランチとしてやるべきことを小笠原がやっていなければ厳しく要求した。
「僕自身も変わらないといけない。満男さんに遠慮していたらチームは良くならない。少し文句気味なことも言わせてもらったし、相手が布陣を変えたときはどうするかを相談することで試合が良い流れになったと思う」
選手に任せるマネジメントは勇気がいる。しかし、選手を信頼する石井流監督術により、そして監督解任というショッキングな出来事を糧にして、チームは一歩前進していた。(田中 滋)