前線から激しくプレスを掛けていく。それが長崎のスタイル。セーフティー・ファーストで後ろから長いボールを入れていく。それが福岡のスタイル。
福岡は元来ビルドアップするチームではない。そのため、リスク管理を徹底できていた長崎の守備の前に、前線でほとんどボールが収まることはなかったが、その状況はネガティブではなかった。「長崎のプレッシャーは速かったけど想定していたし、多分、(後ろから)アバウトなボールが来ると思っていた」と酒井は振り返る。一方の長崎も「8割から9割のところまでは良い形でボールを運ぶことができた」と高木監督が評したように、アタッキングサードまでのボールの運びは狙いどおりだった。しかし、この試合を含めて直近10試合で4得点しか挙げられていない長崎には、アタッキングサードで仕事をするストライカーがいなかった。また、うまく運べているぶん、手間をかけ過ぎ、シュートへのシンプルさを欠いた。
シンプル過ぎて脅威を与えられなかった福岡と手数をかけ過ぎて脅威を与えられなかった長崎。福岡がつないでサイドをえぐることができれば、長崎がシンプルに前に入れていく意識を持っていれば―。
自らに不足する部分が相手の特長となっている者同士の対戦は、「前回と同じような展開になった」(大久保)。スコアもまた前回対戦と同様スコアレスドローに終わったが、それも妥当だったのかもしれない。(杉山 文宣)