前半の3得点で勝負を決めた川崎Fだったが…
結果的に前半の川崎Fの3得点で勝負は決した。しかし、試合後の大久保の表情は勝者が浮かべるそれではなかった。自ら素晴らしいゴールで勝利に貢献したにもかかわらず。前半と後半でまったく違う試合となってしまったことへの悔しさは明らかだった。
お互いに戦前の予想どおりの形と並びで入った試合は、松本のシュートから始まった。開始直後、左サイドに流れたオビナからのクロスに、ダイレクトで合わせたのは工藤。枠から大きく逸れたものの、期待感でスタンドは沸いた。しかし、その後はアウェイチームの独壇場。16分に田坂、25分にセットプレーから谷口、35分には大久保と10分おきに加点。ここまでは順調そのものだった。
しかし後半は想定外の展開を迎える。戦いが終わる前からホームで白旗を揚げるわけにはいかない松本に試合を支配されたからだ。反町監督は後半頭から前田を投入し、状況の打開を図るとこれが的中。前への推進力は高まり、川崎Fを脅かすのに十分な状況を幾度も創出。69分にはバーに当たったはね返りのボールに、途中出場の阿部が反応。冷静に押し込むと、緑色に染まったスタンドがさらに熱を帯びる。まだ点差は離れており、川崎Fにとっては立て直すことも十分できる状況だった。しかし松本の勢いの前に後手に回り、主導権を奪い返すことはできずじまい。「最低の勝ち点3、という言い方ができると思う。途中出場した選手がボールを持つことを怖がったり、頭を整理して戦うことをしなかった。非常に見たくない試合だった」
風間監督の試合後の言葉だ。明らかに怒気を含んでおり、やはり勝った側のそれではなかった。(多岐 太宿)