すべてが変わったのは75分だった。
大木からのマイナスのパスを受けた中後が、右サイドからダイレクトで讃岐のディフェンスラインとGK清水の間に、回転がかかった山なりのボールを送る。清水と競り合う勢いもあってか、そこに左手を上げたままの杉本が飛び込んだ。両者が競り合ったあと、ボールはフリーの高木大の下へはずみ、高木大がそれをヘディングで押し込んで、東京Vの先制点は生まれた。得点後、杉本の手にボールが当たったとして讃岐側は審判へ猛抗議したが、当然判定は覆らない。なお公式記録では、GKからのこぼれ球が高木大へ渡ったと記載されている。
その先制点が試合を大きく動かした。失点をゼロで抑えてカウンターで得点を取るという讃岐のゲームプランが崩れたからだ。それまではセットプレー以外で決定的なピンチを招くことは少なく、清水は「ヴェルディはウチがブロックを作っていた中に、侵入できていなかった」と語った上で、「(1失点目の)ワンプレーですべて状況が難しくなってしまった」と振り返る。押し込まれていたとはいえ、試合は讃岐の狙いどおりに進んでいたと言えるだろう。
しかし、どんな形であれ失点したことで、讃岐は点を取るために前へ出て行かなければならない。すると、必然的に強固だった讃岐の守備にスペースが生まれ、東京Vにとっては攻撃のチャンスが増大する。讃岐がボールを保持して攻撃しても、カウンターにそれまでの鋭さはなかった。
逆に後半ロスタイム、カウンターから高木大のクロスを南が合わせて2-0。讃岐を下した東京Vは、3年ぶりに4連勝を遂げ、順位も3位に浮上した。(石原 遼一)