若手で挑んでいるなでしこジャパンが北朝鮮と韓国に連敗し、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督率いる男子代表も初戦で北朝鮮にまさかの逆転負けを喫している日本勢。5日の男子日韓戦で破れる、引き分けのようなことがあれば、男女揃ってタイトルの可能性がついえてしまう。その最悪のシナリオだけは何としても避けたいところ。今回は勝つことが日本代表にとっての絶対条件だった。
前日練習では北朝鮮戦先発組とそれ以外で別メニュー調整にしたことから、第2戦の日本はメンバー総入れ替えもありえると見られていた。しかしふたを開けてみると、GK西川周作(浦和)、DF遠藤航(湘南)、森重真人(FC東京)、槙野智章(浦和)、MF山口蛍(C大阪)FW永井謙佑(名古屋)の6人は2試合連続スタメン。それ以外の5人が入れ変わる形となった。今回の日本はGK西川、DF(右から)遠藤、森重、槙野、太田宏介(FC東京)、アンカーに藤田直之(鳥栖)、右インサイドハーフ・柴崎岳(鹿島)、左インサイドハーフ・山口、右FM永井、左FW倉田秋(G大阪)、1トップ・興梠慎三(浦和)の4−3−3からスタートした。
対する韓国も初戦・中国戦から先発8人入れ替えてきた。韓国人記者は「中国戦の11人がこの大会の最強布陣。今回はメンバーを落としてきた」と説明。ウリ・シュティーリケ監督は日本戦以上に最終日の北朝鮮戦を重視しているのかもしれない。それでもチョン・ウヨン(神戸)とチャン・ヒョンス(広州富力)のダブルボランチや左FWのキム・ミヌ(鳥栖)らJリーグ経験者をズラリと並べ、最前線には196㎝の大型FWキム・シンウク(蔚山現代)を配置。日本の弱点である高さを生かした攻めを繰り出そうという狙いが伺えた。
前回の反省を踏まえて先手必勝で行きたかった日本。しかし立ち上がりは韓国に一方的に支配され、自陣に押し込まれる時間帯が続く。韓国は右サイドのチョン・ドンホ(蔚山現代)と右FWイ・ヨンジェ(長崎)のタテ関係が強引な突破を見せつけ、倉田と太田を翻弄。そこからのクロスでチャンスを作る。サイドの攻防では日本は明らかに下回ってしまった。
苦境からなかなか抜け出せない日本は前半25分、イ・ヨンジェのクロスに反応したキム・ミヌを止めようとした森重がペナルティエリア内でハンドを犯し、PKを献上してしまう。これをチャン・ヒョンスがゴール左隅いに蹴りこみ、相手に1点を先制されてしまう。先手必勝に持ち込みたかった日本にとっては非常に嫌な失点だった。
それでも韓国も気温33度超の暑さで消耗してきたのか、30分を過ぎるとマークが甘くなってきた。日本はようやく持ち味のパスワークを生かせるようになり、じわじわと敵陣に押し込む。そして迎えた39分、柴崎のFKを槙野が強引にミドルシュート。これが相手DFに当たってこぼれたボールを拾った倉田がタメを作りながら中央へパスする。ここに走りこんだのが山口蛍。2012年ロンドン五輪3位決定戦で韓国に敗れた悔しさを知る男が豪快なミドル弾を決め、日本はようやく1−1の同点に追いついた。
この一撃から前半終了までの日本は、非常にいいペースで試合を運び、追加点を奪えそうなムードも漂った。試合開始直後の重苦しい展開から一変し、後半は期待が持てそうな終わり方だった。
後半も両者とも交代なしでスタート。韓国がボールを支配する時間が長い印象だったが、日本も5分にいいパスワークから倉田が思い切ったシュートを放ち、8分には柴崎のFKのこぼれ球を山口が遠目から狙い、10分には永井が凄まじいスピードで相手の背後に飛び出すなどいい形を作る。特に倉田はこの日が代表デビュー戦にもかかわらず、普段通りのドリブル突破とキープ力でリズムを作っており、非常に効果的な動きを見せた。
前半ほど決定機を作れなくなった韓国のシュティーリケ監督は20分、イ・ジェソン(17番=全北限代)とホン・チョル(3番)を投入する2枚替えを実施。サイド攻撃の色合いを鮮明にしてきた。そして後半24分には左サイドからFKをゲット。チョン・ウヨンのボールをDFが頭で折り返し、入ったばかりのイ・スンリが打点の高いヘッド。これがクロスバーに当たって跳ね返るこの日最大の決定機を作る。日本にとっては本当にラッキーな相手のシュートシーンだった。
そこから韓国は猛攻を見せる。長いボールとクロスを織り交ぜながらフィジカルの優位性を前面に押し出す。日本も負けじと後半25分には永井と浅野拓磨(広島)、34分には興梠と宇佐美貴史(G大阪)を交代。攻めに圧力を加えようとするが、球際のところで勝てずに相手に持ち込まれるシーンが目立つ。浅野も前線でフリーになるチャンスがあったが、フィニッシュまで行ききれない。時折、相手にカウンターを狙われたが、日本守備陣がギリギリのところで体を張って何とか失点を防いだ。
ハリルホジッチ監督は残り3分というところで川又堅碁(名古屋)を投入。最後の勝負に打って出る。だが、日本には決定機らしい決定機が訪れない。川又もロングボールに競り勝てず、ゴール前で起点になりきれない。結局、あと1点が奪いきれずに、試合は1−1のまま終了。日本は連敗こそ免れたが、勝ち点1という微妙な結果に終わった。
北朝鮮戦より内容的には改善されており、少なからず希望の見える内容だったのも確かだ。この試合で奮闘した守備陣や山口、倉田、永井らを最終戦でどう使うのか。そこも含めて今後の動向を見極めるしかない。