監督が考えるサッカーをミーティングや練習を通じて理解しピッチで表現する。それが通常、選手に求められる姿勢だ。これまでの鹿島もそうだった。トニーニョ・セレーゾ前監督のサッカーを理解することがまず始めにあり、それをどうやって試合のパフォーマンスにつなげ、勝利に結び付けるかが選手たちに問われてきた。
しかし、いまの鹿島は少し違う。監督と選手の間に主従の関係はなく、あるのはフラットな結び付きだ。当然、試合のプランやトレーニングメニューは石井監督をはじめとしたコーチ陣から示されるが、選手は唯々諾々とそれに従うだけではない。問題点があれば遠慮なく監督に提案。監督もその意見に耳を傾け、すぐさま修正して次へ向かう。仮説→実行→検証→改善のサイクルが異常に早く、出てきた不安や懸案事項をその場でクリアし、連係や練度を磨いて試合に向かえているのだ。選手からは「いまは選手たちが作り上げて、それを石井さんや剛さん(大岩コーチ)がサポートしてくれている感じがする」(遠藤)という声さえ聞かれている。
その効果は絶大だ。練習でやったことがそのまま試合で生かされるだけでなく、選手たちは戦術の従事者ではなく当事者へと変化した。一致団結した戦いが見られるのも、この影響と言えるだろう。
99年にユースのコーチに就任して以来、近い位置からずっと選手を見てきた石井監督。「監督になっても石井さんのほうから(選手への)接し方を変えてない」と曽ケ端。垣間見えるのは互いへの信頼感。全員が一体となって戦っている。(田中 滋)