監督交代という大鉈を振るった清水だったが、結果だけを振り返れば大きな変化を見せられなかった。
前半に先制されるのは2ndステージ6試合にして、これで4試合目。さらに、この試合では、永木のクロスにカルフィン・ヨン・ア・ピンがかぶり、後ろにいた犬飼が反応できずにオウンゴールという最悪の形。田坂監督の初陣で再スタートとなる試合にしては、意気消沈するような失点だった。ただ、ここから得点を奪い返せるのは、大榎前監督のときと同じ。ピーター・ウタカがヒールでスペースにボールを送り、ミッチェル・デュークが走り込む。クロスにチョン・テセがニアにDFを引き付け、ファーに大前が飛び込むという攻撃陣4人の連係が見事にハマったゴールで同点に追い付いた。それでもやはり最後もいつものパターンだった。77分に三竿のFKがバーに当たり、はね返りを島村にワントラップから豪快に押し込まれた。セットプレーからの失点は今季克服できない課題の一つだ。皮肉にも試合前に「湘南は76分以降に失点が多い」と田坂監督が分析していた時間帯の決勝点となった。
角田が試合後を振り返るときに、犬飼の名前を「犬塚」と呼び間違えていたように、新監督と新加入選手が加わってからチームとして日が浅い。それでも、まず気持ちの部分を強調してきた田坂監督は、この2週間でおとなしい集団だった清水を、内面から変えることに成功している。「サッカーの本質である、走ったり、戦ったり、球際で負けなかったりということを常にチーム全員が出して、その上で戦術がある」(大前)。今まで足りなかった“本質”の部分の土台はでき上がりつつあると見ていいだろう。これからは、そこからいかに積み上げができるかということが問われることになる。下位チームが軒並み結果を残せなかったため、この敗戦も最悪ではない。次節・新潟との直接対決に勝利するための教訓だと思えば。(田中 芳樹)