先制点の重み。3分、クリスティアーノがもたらした流れ
試合後に両監督がそろって口にしていたのは先制点の重さだった。柏は開始3分、クリスティアーノが広島CB塩谷を外し、正面から相手GK林のブロックをはじいて叩き込む。「シュートを打つために一番大切なモノはファーストタッチ。それがうまくできた」と自身も納得顔のフィニッシュだった。
「点を取ったことでカウンターからチャンスを迎えるシーンが増えた」(吉田監督)という中で、彼の持ち味はさらに生かされた。工藤は「クリス(クリスティアーノ)のところは一人で仕事ができるので任せながら、そのこぼれを狙っていた」と振り返るが、仕事は徒労に終わった。クリスティアーノが自分で決め切ったからだ。
63分の2点目は、30mほどの距離からGKのほぼ正面に打ち込む“超強烈”ミドルだった。強烈なキックは間違いなく彼の強みだが、最近は吹かさずゴールの枠に収める場面が増えている。柏に適応したことでゴールという結果が生まれ、自信と余裕を得てさらに結果が出るという良いサイクルに入りつつある。強引に狙ってひたすら外した甲府時代、柏加入直後の悪癖はもうない。2月のACLプレーオフ・チョンブリ戦(3○2)では16発の“空砲”を放ったが、この試合はシュート4本で3得点を決めた。その凄味はパワーやスピードに加えて、連戦でも試合終了まで走り続ける耐久力だ。2nd第6節・神戸戦(2○0)を前に、チームは約2週間のインターバルを過ごしていたが、彼は少し不機嫌だった。「試合のない期間が好きじゃない。できるなら24時間試合をしたい」と真顔で言い放つ。中2日、3日が続く過酷な日程の中で、彼はその輝きをさらに強めることだろう。(大島 和人)