負の記憶がある4バックへの変更。5カ月ぶりの決断が、福岡に勝利をもたらす
相手のストロングポイントを消しつつ、J2ではトップクラスの質を誇る攻撃陣の力を生かす。それが、福岡がここまで勝ち点を積み上げてきた方法論だ。相手のストロングポイントをいかに消すかが焦点とはいえ、この決断は並大抵の度量ではできないだろう。2位・磐田との大一番を前に井原監督は、第2節・愛媛戦(1●2)以来の4バックへの変更を決断した。「不安があった」と田村。それも当然だろう。4バックで臨んだ開幕2試合は5失点を喫して連敗。今季積み上げてきた勝ち点はすべて3バック時のモノ。選手にとって言わば“負の記憶”しかないシステムへの変更は、チームの勢いを変えかねない決断だった。
実際に前半はシステム変更が奏功したとは言えない内容だった。7分、小林に最終ラインの裏を突かれる。9分には太田がゴール前でフリーでシュートを放つ。35分にはアダイウトンのヘッドが左ポストを叩く。40分にはジェイがGKとの1対1を迎える。しかし、中村航の好セーブなどもあり、いずれも、ゴールネットを揺らされることはなかった。敗因は「チャンスで決め切れなかった部分」と名波監督が嘆いたように、磐田は決して悪い出来ではなかった。
しかし、サッカーは90分でのゲーム。「我慢強く、粘り強く戦っていた」と名波監督は福岡を評したが、逆に言えば、磐田はそこが足りなかった。流れが福岡に渡ったところで耐え切れない。前節・京都戦(3△3)のリプレーのようにサイドから崩され失点を喫すると、最後まで流れを引き戻すことができなかった。
福岡にとっては自動昇格圏との勝ち点差を『3』に詰めるだけでなく、負のイメージが強かった4バックの記憶を払しょくする大きな意味を持つ一戦。井原監督は自身の決断の正当性を勝利で示した。(杉山 文宣)