世界へ出ていくために倒さなければいけない相手
誰もが待ち望んでいた“リベンジマッチ”だ。柏は13年秋のACL準決勝で広州恒大と対戦し、2戦合計1-8という大差で敗れている。当事者だった工藤は「点差も点差だし屈辱でしかなかった」と振り返るように、選手たちは広州に大きな借りがある。
柏が大会を制してクラブW杯の出場権を得るためには、必ずどこかで広州を倒さなければいけない。それは選手たちにとって自明のことだった。工藤は「それがこの状況で来たことは非常に良かった」と口にする。吉田新監督が就任した今季の柏は、スタイルの定着に時間がかかり、1stステージをわずか4勝で終えた。しかし2ndステージは8戦6勝と好調だ。DF鈴木が「やり方は(前半戦から)変わってないけれど、一人ひとりの距離感が良くなった」と説明する堅守が冴え、6勝はいずれも完封勝利。布陣をコンパクトに保ち、相手アタッカーからスペースを奪う狙いを、広州戦も変わらないはずだ。
攻撃面はまだ発展途上の部分も残っているが、ボールを握ることは間違いなくチームの新たな強みだ。工藤は「しっかりボールを持つことに自信を持っている。相手のカウンターは警戒しつつ、相手にインパクトを与えて勝ちたい」と意気込む。
広州戦に向けた思いはサポーターも同じだ。彼らの手によってポスターや、“柏から世界へ”の言葉が入ったピンバッジが用意された。自腹で宣伝カーを用意し、街を回った者さえいる。松本戦の後には柏熱地帯から「エー・シー・エル!」のコールが起こり、広州戦に向けて気勢をあげた。試合は火曜の開催だが、チケットはすでに売り切れている。
選手が無理矢理に自らを鼓舞する必要はない。「最高の雰囲気になるのは間違いない」と工藤が談ずるように、空気はサポーターが作ってくれるからだ。柏はすべての思いを結集して、華南の雄に立ち向かおうとしている。(大島 和人)