自分たちの試合に持ち込んだ広島。先制点がカギに
試合前日、青山はこう話していた。「自分たちの形が生きるのは先制点を取ったあとなので、それまでは本当に我慢しないといけない」。非公開で準備してきた名古屋の出方が分からないこともあり、「まずしっかりと守備をやれれば」(青山)というスタンスで広島は試合に臨んだが、始まってすぐに名古屋がチャンスを与えてくれた。自軍でパスミスした本多の愚を逃がさず6分に先制すると、名古屋の守備陣が落ち着かない間に畳み掛けてリードを広げる。自分たちの形が生きる試合展開に易々と持ち込むことができた広島は5得点を奪い、再び年間勝ち点で首位に返り咲いた。
とはいっても、広島のサッカーは至ってシンプル。自陣で守備ブロックを敷いてボールを奪い、スペースが広がっている敵陣でアタッカー陣が躍動していく形だ。相手はカウンターの脅威を分かっていても、ミキッチと柏の両翼と後半途中からピッチに立つ浅野のスピードと突破力はそう簡単には止められない。名古屋に20本のシュートを許し2失点したことは大きな反省点であり、カウンターの精度を向上させていく余地もたっぷりとあった。まだ粗削りで未成熟なところも見せた広島だが、先制点を奪ったときの強さを存分に知らしめる試合となった。
今季、広島は先制した試合で13勝1分と無敗で、前半をリードして折り返すと12戦全勝の戦績を誇っている。サッカーにおいて先制点が大きく勝利に関与するのはどのチームも同じだが、広島の先制点を勝利に結び付ける強さは本物だ。ただ、裏を返せば、先制できなかった試合は4勝3分5敗と負け越しているということになる。
これからEスタに乗り込んでくる対戦相手は、より守備意識を高めた戦いを選択するようになってくるに違いない。その壁をどう乗り越えるかが、今後の広島の課題となってくる。(寺田 弘幸)