前節終了段階での年間勝ち点が13位の甲府は降格圏の16位・松本に勝ち点7差を付けていた。その松本には今季、公式戦3戦3敗。「攻め勝とうとした試合はうまくいかない」という佐久間監督は、「松本戦が一番悔いが残る」と話していた。
今節の柏戦は攻め勝つゲームプランではないものの、いつもよりリスクを負って攻撃的に戦うために1トップ・バレーの下の2シャドーに阿部拓と伊東を並べ、守備力の高い稲垣をベンチに座らせた。序盤はリスクマネジメントをしながら得点のチャンスを狙えていたが、ミス絡みで与えたカウンター2発で2失点。一時は大量失点での敗北も覚悟した。それでも冷静に見ればバレー、阿部拓、伊東の前線の3枚はミスも目立ったが、それぞれの個を組織で生かした一定のプレーを見せていた。バレーがイライラ島で孤立していた数節前からは確実に良くなりつつあった。
48分、バレーのアシストを受けた阿部拓が質の高さを見せ付けるシュートを決めて1点差とし、これがチームに活力を与えた。後半はシュート数を増やし追加点を挙げて引き分けに持ち込めたが、チームとしては[5-4]のブロックで守って、カウンターから勝ち点を取るだけではないところを証明できたことに価値を見いだせる。依然として降格の可能性はある。危機的状況でもないが上位は望めないという中途半端な順位では目的意識がぼやけやすい。しかし、この状況でアタッカーにモチベーションと責任を与え、パッションあふれる戦いをして勝ち点1をもぎ取ったという成果は、残り8試合でチームを前進させる力になるはずだ。(松尾 潤)