またしても、日本は引いた相手を攻めあぐねた。サッカーにおいて、守備を固めた敵を攻略することは難しいとされている。とはいえ、この試合で日本が得点シーン以外ノーチャンスだったわけではない。連係や技術のミスなど、稚拙な攻撃を繰り返したことで3点止まりになったことは明らかだった。
試合後、本田圭佑に日本の拙攻を直接問うと、ある切り口でその原因を語り出した。「チャンスの作り方があまりうまくないと思う。もっと相手を左右に揺さぶって、最終的に崩すということをもっと我慢してやればできないチームではない。
でもそれは、(欧州組にとっては)普段やっているサッカーとはまったく違う考えで挑まないとできない。縦に速く行けそうやから行くというマインドだったら、まず引っかかる。それで実際に引っかかったのが6月のシンガポール戦。だからそこで試合の中で緩急を付けて、切り替えないといけない。ただみんながW杯予選を経験しているわけじゃなかったり、集まって3〜4日しか準備がなかったり、当然理由はたくさんある」
われわれの頭の中には、日本人選手は細かい連係に長けているという概念があるだろう。それは実際にJリーグの各クラブのサッカーを見ても、多くの選手たちのプレーからも感じ取ることができる。
ところが、欧州でプレーする日本人は、国内でプレーしていたころとは違う概念のスタイルが日々求められている。局面での1対1の連続や、フィジカル的に上回る相手に対しても縦に速く攻めていくプレーなど、そこに細やかな連係などないことも多い。
そんな欧州で必要とされる感覚と、日本人らしいプレーの感覚の間にある葛藤。それについて本田はこう続けた。「欧州でプレーしている選手たちの所属チームの状態が、そんなに(パスサッカーで)攻め込めるレベルのチームばかりではないでしょ。それでこうやって日本に戻ってきて、いきなりそういう(細かい連係の)サッカーをしろというのも、そんな簡単に切り替えられるモノではない」
代表チームは、何週間もかけてチーム作りができる集団ではない。その意味では連係面を向上させていくことにも限界がある。ただ、日本が対外試合でこれまで武器にしてきた連係プレーが、日本人選手の“欧州化”が進むことで少し鈍化しつつあるというジレンマ。一見すると分かりにくい部分だったが、こうした現実的な問題が存在していることも今回見えてきた。
本田は「これはサッカーをやっている人にしか分からない」と話した。当事者以外にはミスの言い訳のように聞こえてしまう場合もあるだろう。いずれにしても、これを克服できるのは代表選手たち自身。彼らが新たに抱え始めている課題をどう解決していくか。「ゴールが決まらない」と嘆き続けることは簡単だ。代表を見つめるわれわれにとっても、このような視点を持ちながら注視していくことは興味深い。(西川 結城)